<金口木舌>ムーンライトマラソン30年の歩み


<金口木舌>ムーンライトマラソン30年の歩み
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 1995年に始まった伊平屋ムーンライトマラソンは19日、30回の記念大会が開催された。島を挙げての温かな歓迎でランナーを出迎え、気温30度超の中でも、沿道で多くの住民が応援した

▼幼稚園児からお年寄りまで、大会運営やボランティアに携わる。走り終えたランナーをねぎらい、中学生がメダルを掛ける姿も印象的だった。大会前の草刈りも入念で、不思議と大会でハブは出たことがないという

▼当初は「月光走」という名前で大会開催を予定していた。裏話を明かすのは、役場の企画財政課長だった西銘真助さん(73)。若い世代が「ムーンライト」の名称を提案し、決定したという

▼「村民みんなで、一歩ずつ積み上げてきた大会だ」と西銘さんは話す。島民の知恵、おもてなしを意味する「いへやじゅうてー」の心が大会の原動力なのだろう

▼島の人口は2005年の1547人を境に、減少が進んでいる。運営の労力も増している。それでも大会を終え、船で島を離れる参加者と見送る島民が「ありがとう」と声を掛け合う温かな光景は変わらない。魅力あふれる大会が続くことを切に願っている。