古民家で夢の三線教室 実家を活用「子どもたちに素晴らしさ教えたい」 今帰仁の与那嶺さん


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与那嶺直樹さん(3列目右端)の三線教室に集まった子どもたち

 【今帰仁】「はいもう一回。アイ、シー、コウー」。今帰仁村与那嶺の古民家で13日の夕暮れ時、児童向けの三線教室が開かれた。子どもたちは持ち慣れていない三線を手に、元気良く声を出して工工四を追っている。三線の道に進んで40年の与那嶺直樹さん(60)は、住人不在の実家を活用し、「夢」だった三線教室を始めた。地元の子どもたちは先生の言葉を真剣に聞き、基本を学んでいた。

与那嶺直樹さん(右端)から三線の指導を受ける子どもたち=16日、今帰仁村与那嶺

 与那嶺さんは生まれも育ちも同村与那嶺。築60年になる実家には母のシゲ子さんが住んでいたが、高齢のため、7年前にうるま市に住む長男と同居し始めた。実家の前には立派なリュウキュウマツがそびえ立ち、「子どもの時から変わらない原風景」だ。

 20歳に野村流音楽協会に入会し、玉城徹夫氏の下で三線を習い始めた。教職員向けの宿舎で働き、15年前から県庁に就職した。今年4月に定年退職して村に戻ると、与那嶺さんの三線の腕を知る老人会や青年会の人々から「三線教室をやってほしい」と熱烈なアプローチを受け、三線教室開催を決めた。

 当初は公民館を利用しようとしていたが、新型コロナの感染拡大に伴い休館が続いた。実家は借家として住む人も決まっていた。

 だが「早く子どもたちに三線の素晴らしさを教えたい」と予約を断り、教室開催に向けて環境を整えた。

 始動した13日、地元の兼次小の児童を中心に9人が集まった。大事そうに三線を抱え、熱心に先生の話を聞いていた与那嶺栄路さん(兼次小4年)は「楽しくて、1時間があっという間だった」と充実した様子だった。

 直樹さんは「三線の力はすごい。三線の音を聞くとおじぃ、おばぃが車いすから立ち上がって踊り出す。村に三線の文化を広めたい」と力を込めた。

 三線教室は週1回、火、木、土曜日のいずれかに参加可能。教室の問い合わせは与那嶺直樹さん(電話)090(5088)5374。