浦添城跡に30メートルの城壁確認 「復元に向け重要な手がかり」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
浦添城跡の発掘調査で新たに発見された長さ約30メートルの城壁=5日、浦添市仲間

 【浦添】浦添市教育委員会は5日、国指定史跡・浦添城跡の発掘調査で、城跡の南側に位置する同市仲間の内郭西地区に長さ約30メートル、高さ最大で約2.5メートルの石積みの城壁が出現したと発表した。同日、報道関係者らに公開した。市教委は「今後の復元に向け、重要な手がかりになる」と強調した。

 浦添城跡は沖縄戦で激戦地となり、戦後は採石場や土木建築資材として石材が持ち出されるなど、城壁はほぼ残っておらず、発掘調査でも、1段から数段積まれた石積みの一部が確認されるくらいだった。2014年に同じエリアで発見された城壁の一部の調査が進み、今回最大13段の石積みが確認された。市教委の担当者は「これだけの長さと高さがある城壁を確認するのは初めてだ」と驚く。

 城壁は14世紀後半ごろに造られた。直方体に切り出した琉球石灰岩を積み重ねる「布積み」で、重箱を積み重ねるように、目地が縦に一直線となっている。

 市教委文化財課の仁王浩司さん(47)は「布積みの中でも技術が発達していない比較的古い技法で積まれている」と解説する。城壁の強度を高めるために、積まれた石材と石材の間には小さな石を詰め、湾曲部には城内部からの土圧に対応するため、大きな石材が使用されている。また、城壁の西側には目地がVの字状になっている部分があり、仁王さんは「二つのグループが城壁を造り、この場所で合流したのではないか」と述べた。

 城壁の外側には成犬の骨も出現した。仁王さんは石灰岩が敷き詰められていることなどから「人の手によって埋められた可能性がある」と分析した。

 発掘調査は今後も継続する。市教委では11日午前10時と午後2時に見学会を開催する。参加無料。雨天中止。問い合わせは市教委文化財課、電話098(876)1295。
 (金城実倫)