
【伊江】沖縄県の伊江港と本部港を結ぶ村営の「フェリーいえしま」(975トン、626人乗り)船長の大城勝彦さん(60)が定年退職を迎えた。23日に最後の運航を無事に終え、無事故で44年余にわたるフェリー人生に幕を下ろした。伊江港では島袋秀幸村長をはじめ乗組員、家族ら約200人が駆け付け、花道を作って大城さんを出迎え、多くのプレゼントやねぎらいの言葉が贈られた。
大城さんは1974年8月に甲板員として採用。これまで5隻の船に携わり、7年前に船長に就いた。
この日の伊江港と本部港発の最終便で、大城さんは感謝の気持ちを込め長い汽笛を鳴らした。伊江港では大勢の出迎えや「お疲れさまでした」と書かれた横幕が掲げられ、大城さんは目頭を押さえながら操縦した。無事に接岸すると操舵(そうだ)室は大きな拍手に包まれた。
大城さんはこれまでを振り返り「先輩方や乗組員に支えられ任務を全うすることができた。村の重要な生活航路として安全運航をすることができたのも村民のおかげ。感謝の気持ちでいっぱい」と語った。
大城さんは4月から九州と東北を結ぶ貨物船で勤務することが決まっている。「貨物船でフェリーの乗組員を数カ月間実習させ、島の後輩たちの育成に努めたい」と、恩返しの気持ちを込めた。
4月から船長に就く大城哲さん(40)は「頼りになる先輩で、後輩たちをいつも温かく見守り熱心に指導してくれた。貨物船での活躍を期待したい」と、大城さんにエールを送った。(金城幸人通信員)
