【宮古島】宮古島市平良の池間島と同島からかつて分村した市平良西原、市伊良部佐良浜地区の人たち、いわゆる「池間民族」の伝統行事である豊年祈願祭「ミャークヅツ」(宮古節)が10月29~31日の3日間、各集落で行われた。地域住民ほか宮古島内外の出身者や観光客らも駆け付け、泡盛を練乳で割った「ミルク酒」を酌み交わしながら、クイチャーや奉納相撲などで盛り上がった。
ミャークヅツは男性を中心とした行事で、五穀豊穣(ほうじょう)や子孫繁栄、集落の繁栄を祈願する。毎年旧暦8月以降の最初の甲午(きのえうま)の日に行われ、「生きている今を楽しもう」という意味を持った祭りとされる。
各地区とも一定以上の年齢の男性が中心で、初めて参加する年代の男性は「新入生」と呼ばれる。
このうち、平良西原では「中日(ンナカヌヒ)」の10月30日、集落の男性らが黒色のスーツに身を包み、ねじり鉢巻きで集落内を練り歩いてパレードをした。午後3時ごろ、集落にある仲間御獄を出発した男性らは、祈願や奉納相撲が行われる「座(ジャー)」と呼ばれる広場まで約1キロの道のりを、歌と太鼓に合わせて力強く踊り、時折「五穀豊穣」の旗を掲げながら行進した。
沿道には地域の人たちが集まり、子どもたちがパレードの踊りに合わせて一緒に手をたたき、踊り出す場面もあった。
広場の入り口付近では、神事をつかさどる女性「ツカサンマ」が男性らを迎えた。一行が座に到着すると、この1年に地元や沖縄本島、県外で生まれた子どもたちの数が報告され、男性らによる奉納相撲が行われた。白熱する取り組みに、集まった人たちからは声援が飛び交い、大きな笑い声も響き渡った。相撲にも参加した新入生の与那覇周作さん(49)は「一人一人の思いが強くて、団結力を感じる。地域の伝統文化の大切さを体感した」と話した。