【チャイナ網路】台湾から見た「反日」


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わたなべ・ゆきこ 西南学院大学卒。台湾大学文学修士。現在、沖縄大学人文学部・国際コミュニケーション学科講師。琉球新報編集局嘱託。

 中国各地で起こった反日行動に、台湾政府は一貫して距離を置いている。2月の日米共同声明等で、「日本は台湾独立に加担した」と抗議を続ける中国。下手に口を出して、とばっちりを食わぬよう慎重になるのは当然だ。
 が、マスメディアは黙ってはいない。「デモは一種のヤラセ」が共通認識だ。「大規模」と日本では報道されたデモも、台湾人から見れば、ぎりぎりコントロール可能なコンパクトで、しかも日本主要企業などの急所を微妙にはずした“寸止め”デモだ。
 「日本は戦後、中国に幾度もあやまってきた」とも台湾では報道された。計3兆円にのぼる日本の対中ODAも知られている。にもかかわらず、中国は今、過去の侵略行為による被害を振りかざし、民衆を扇動して日本に内政干渉をしようとしている。そういう見方もないわけではない。
 しかし、だからといって台湾の世論が「日本は歴史的責任を果たしている」とは見ていない。少なくとも「相手が納得できる形」ではないと指摘する。「ドイツを見習って、もっと大人になれ」。台湾もそう苦言を呈している。(渡辺ゆきこ)