【大宜味】「建物も人間と同じようにお祝いしたい」―。現存するコンクリート建造物で県内最古といわれる「旧大宜味村役場庁舎」(現同村史編纂室)が1925年3月の完成から数えで88歳となり、米寿(トーハキ)を祝う記念式典などが17日、旧庁舎前広場で行われる。
今も“現役”の建物を築いた技術などを知ってもらおうと、編纂室は1日から展示会を開始。同室職員らは「大宜味大工の技に触れて」と来場を呼び掛けている。
旧庁舎は、鉄筋コンクリート2階建てで、延べ床面積約182平方メートル。県内初の本格的な鉄筋コンクリートの公共建築物として、県の有形文化財に指定されている。熊本県から県国頭郡技手として20年に赴任した故清村勉氏が設計した。村饒波出身の故金城賢勇氏が棟梁(とうりょう)となり、多くの大宜味大工が建築に携わった。
金城氏は沖縄戦後、構作隊の本部長として戦後復興に尽力。5構作隊のうち4隊長を大宜味大工が務めるなど活躍した。展示会では、大宜味大工から寄贈された道具や歴史を紹介し、旧庁舎建築の経緯などの資料が展示されている。
展示会や記念式典を進める米寿祝実行委員会事務局の米須邦雄さんは「手仕事の繊細さ、技術が分かる。大宜味の先達のことを知ることで、将来を考えるきっかけにしてほしい」と語る。
トーハキ祝いは、17日午前10時~午後1時に大宜味小学校体育館で清村氏についての講演会や旧庁舎にまつわるシンポジウム、午後2時から旧庁舎前で記念式典と祝賀会が行われる。展示会は月曜日から金曜日(午前9時~午後5時まで)、30日まで(祝祭日は休み)。(仲村良太)