【チャイナ網路】シングルのプライド


社会
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 先々週発売の雑誌「時報周刊」のタイトルは「独身“非”貴族」。いまだ独身が結婚への発展途上段階と見なされる台湾では「ご結婚は?」の質問が繰り返される。晩婚と非婚傾向が高まる中、マイノリティーではなくなりつつある彼らがついに「私たちは差別されている」と声を上げた。

 独身が不幸なのではなく、社会的な配慮の欠如が独身者を不幸にしていると彼らは指摘する。スーパーの商品はファミリーサイズが主流。たまに張り込んだレストランでは、トイレの近くや柱の陰にばかり通される。“貴族”とは名ばかりの肩身の狭さなのだ。
 そんな独身者のプライドをくすぐっているのが、独身指輪「シンゲル・リンゲン」だ。婚約指輪や結婚指輪のように独身者もその身分を誇示できるようにと考案された。一昨年の発売以来、すでに12万個を売り上げる世界的ヒット商品だ。
 ターコイズブルーにシルバーのリングはスウェーデン製らしい秀逸なデザイン。内側のシリアルナンバーは男性用と女性用のペアで刻印されている。世界の誰かとナンバーでつながっている。指輪は自由と可能性の象徴でもある。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学准教授)