沖縄科学技術大学院大学と「FR07サーモラボ」を共同開発    芭蕉布の「涼しさ」の数値化、仕組みの解明を目指す


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カトーテック株式会社
地球温暖化で長くなった日本の夏の衣生活への活用に

風合い試験機KES(R)を製造販売するカトーテック株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役:加藤敦子)は、沖縄科学技術大学院大学(所在地:沖縄県恩納村、学長兼理事長:カリン・マルキデス、以下OIST)の芭蕉布研究に協力し、2020年より「FR07サーモラボ」の改良を進めてきました。OISTでは改良型「FR07サーモラボ」を使用し、芭蕉布の涼しさの解明に向けて、2024年より測定を開始しました。カトーテックは、この改良した新しいFR07 サーモラボを2024年9月2日から全国販売します。
ここで得られる知見が、地球温暖化で長くなった、近年の日本の夏の衣生活への芭蕉布の活用につながることも期待されます。


バナナの仲間であるイトバショウの繊維が、芭蕉布の原料となる(写真:Hitomi Shinzato/OIST HPより引用)

芭蕉布とは?
琉球王国時代に発達した、沖縄の伝統的な布。バナナの仲間のイトバショウの偽茎(茎のように見える部分)の繊維から作られ、軽く、薄い布を産み出した伝統的製法は重要無形文化財に指定されており、世界に類をみない特殊な布です。今日でも着物愛好家垂涎の夏物の布として、沖縄を代表する伝統工芸品です。

研究内容
芭蕉布は、琉球時代に全階級で夏に好まれた布です。綿や絹が選べるにもかかわらず、琉球の上流階級では、その涼しさから、夏は芭蕉布を好んで着用しました。では、実際にどのくらい涼しいのか? この研究では、芭蕉布の「涼しさ」を数値で示し、その「涼しさ」の仕組みの解明を目的としています。

研究者
沖縄科学技術大学院大学 (OIST)
サイエンス・テクノロジーグループ サイエンス・テクノロジーアソシエイト 野村陽子博士
乾燥している夏のカリフォルニアから沖縄に移り、沖縄の蒸し暑い夏に昔の人は何を着ていたのか?という単純な疑問を持ったのが、芭蕉布の研究の発端です。なぜ芭蕉布を着ると涼しく感じるのでしょうか。高湿環境で芭蕉布に手を触れてみると、確かに冷たく感じます。布の基本的な情報を得るために標準状態での測定は必要不可欠ですが、一方で実際の使用環境でその布をどの位冷たく感じるかは、非常に興味深いところです。改良された「FR07」は、様々な環境下での接触冷感の測定を可能にします。この測定から、高温高湿環境での芭蕉布の涼しさが解明できるのでは、と期待しています。

FR07サーモラボについて
ものの熱吸収特性を測定する試験機。人がものに触れたときに感じる「冷たさ」や「温かさ」を温度変化ピーク値qmaxとして測定し、官能評価と一致する※データを計測することができます。今回、濡れた試料・温度や湿度の高い環境でも測定できるように防水加工に。夏の沖縄県の温湿度を再現した高温高湿環境で「涼しさ」を数値化できるのか、研究を進めています。※繊維製品や毛髪に関して

FR07 サーモラボ

OISTにおける実験 
写真提供:OIST 野村博士 ※インキュベータ内に設置した温湿度計、32.8℃, 85%RH

高温高湿度下での芭蕉布の測定


高温高湿度下での芭蕉布の測定(センサー部)

FR07サーモラボ 特徴
・接触冷温感を評価
・濡れた試料、高温、高湿度の環境でも測定可能 (NEW)
・自動で上下昇降 (NEW)
・R形状(丸みのある素材)でも測定可能

カトーテック株式会社について
カトーテック株式会社は、ものの触り心地を数値化する試験機を製造販売。1962年に鉄工所として創業し、高い精密加工技術を聞きつけた京都大学の川端教授の問い合わせがきっかけで、風合い試験機KES(R)を製造販売することに。現在ではKES(R)を中心とした試験機を世界50か国以上に展開し、研究者の間では知られた存在になっています。

会社概要
社名:カトーテック株式会社
本社所在地:京都市南区西九条唐戸町26番地
代表取締役:加藤 敦子
事業内容:1. 電子計測装置 2. 高分子材料関連機器 3. 各種製造装置 4. 大型特殊機械
設立:1961年9月1日
※「KES」「KAWABATA EVALUATION SYSTEM」は、カトーテック株式会社の登録商標です。
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