うちな〜文化を巧みに操るハイブリット芸人<じゅん選手さん> ◇沖縄芸人ナビFILE.20

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言葉に紙芝居にカチャーシー、沖縄色いっぱいの芸風でみんな知ってる「じゅん選手」。ナビゲーター役の「初恋クロマニヨン・松田正(まつだ・しょう)」さんが、じゅん選手さんの生い立ちからこだわりまで、ズバリ聞いてきました。

(執筆:フリーライター・饒波貴子)




「沖縄芸人ナビ」は「週刊レキオ」(毎週木曜発行)と連動中。毎月第1週のレキオに関連記事を掲載していますのでご覧ください。




じゅん選手さん(オリジン・コーポレーション所属(左)/ http://origin-oze.com)とナビ芸人の松田正さん(よしもとエンタテインメント沖縄所属/http://yoshimoto-entertainment-okinawa.jp/)。好評発売中のCD「じゅん選手のカチャーシー講座」のことから素顔が見える内容まで、話題たっぷりの対談でした。



ブリッジも? 自由すぎるカチャーシー



松田ナビ:2月に「THE AGYAAA SHOW(ジ・アギャーショー)」、という舞台に出演しましたね。歌あり、お笑いありのショーだったそうですが、どんな舞台でしたか?

じゅん選手:二役を演じさせてもらい、コント部分はお任せみたいな感じでできたありがたい舞台でした。楽しかったです。

松田ナビ:CD「じゅん選手のカチャーシー講座」も発売しましたね。売り上げは好調!?

じゅん選手:1000枚作って、半分くらい買っていただきました。

松田ナビ:すごい! ラジオでもめっちゃ流れているけど、制作のきっかけは?

じゅん選手:前歯出てるしCDも出そうかなって(笑)。イベントに呼んでいただいた時など何もできなかったので、いつかCDを作ろうと思っていたんです。



松田ナビ:じゅんのカチャーシーは達人レベル。手を使わずに踊るなど、地域のプロのやり方だよね。子どもの時からエイサーなどやっていた?

じゅん選手:率先してやっていました! チョンダラーやるのが好きでしたよ。カチャーシーのCDにしたきっかけは、沖縄のイベントの結びだから。大体最後に「唐船ドーイ」が流れてカチャーシーを踊るじゃないですか。県外の人に踊り方を聞かれると「自分が楽しいと思う踊り方で」と答えてきたので、そろそろレクチャーする歌を作ろうと思いました。

松田ナビ:「手を上に挙げてください。男の人はグーを作り、女の人はパーを作ってください」と説明があって踊り始めるよね。

じゅん選手:グーとかパーとか決めず、好きに踊っていいと僕は思っているんですよ。僕は手をパーにして踊る場合もあるし、オリジナルの踊りを入れたりします。実はブリッジもしているので、きれいなアーチが描けているのかは心配。たまに「へ」の字の形になってしまう時もある。

松田ナビ:前に見た時はきれいなアーチだった(笑)。瀬底大橋みたいな美しいアーチ型が良さそう。カチャーシーやエイサーが好きですか?

じゅん選手:行事ごとは好きです。でも出身地の北中城村熱田は、オジーとオバーが多くて行事はあまりなかったです。

松田ナビ:しまくとぅば(島言葉)が得意なのはオジー、オバーや両親の影響!?

じゅん選手:でもないですね。オトーはそれなりにしゃべりますが、同級生や友達としまくとぅば(島言葉)をしゃべっていました。

松田ナビ:僕とじゅんは同世代。高校生の時に流行った「着ボイス」があって、じゅんの声ってうわさで聞いたけど・・・!?

じゅん選手:そうです。高校生のころ携帯が普及し始めて、僕がまだ持っていない時に友達の携帯をガンマリ(いたずら)して笑わせようってなったんですよ。男子生徒ばかりだったのでこんなガンマリがみんな好きで、聞かせて聞かせて〜って広まって。そこから違う学校にも拡散されていった感じですかね。


6~7年前の一コマ

松田ナビ:読谷まで広まったよ。その時ちょっと「じゅんブーム」になったんじゃない?

じゅん選手:いや! 友達には話しましたが、女の子には隠していました。変な人って思われたくなかったんで(笑)。

松田ナビ:そうだったのか〜(笑)。昔から人を笑わせるタイプ?

じゅん選手:小学校の低学年の時はしゃべらずに静かにしていて、学芸会でオジー役に選ばれました。せりふ量がしたたか多くて頑張るつもりだったんですけど、持病だった喘息の症状が出てしまい、逆に「オジーっぽい!」って拍手されたんですよ(笑)。立っているだけでいいと主役になり、せきをしたら「すごくリアル!」と言われ・・・そこからです、人生変わったの(笑)。鼻と口に割り箸を入れて踊ったりするようになりました。小4くらいに「お笑いやるから勉強はしない」と口にするようになりました。


6~7年前の一コマ

松田ナビ:分かる! ゴールがお笑いだから、「勉強やっても意味ないやし」と思っていたあのころ(笑)。勉強はたくさんやった方がいいけどね。

じゅん選手:6年生の学芸会はオーディションになり、最後だし主役やりたかったんですけど、悪いヤツラが「じゅんは何かやってくれる」って僕を見てクスクス笑ったんですよ。みんなを裏切れないと思い、「じゃ〜ん」って言いながらズボンを脱いで変な踊りをしたら先生にしたたかクルされ(怒られ)ました。

松田ナビ:主役の座を捨てて、その場のノリを優先したんだ(笑)。

じゅん選手:絶対主役になろうやっさ〜って意気込んでいたんですけど、期待を裏切れなくて(笑)。目立ちたがり屋になったのはそこからです。中学校では違ったタイプの目立ちたがりになってしまい、格好だけいっちょまえのヤンキー。根っからのヤンキーではなかったです。3年生の時は流行っていたスケーターで、髪型は剃り込み入りの丸坊主でした(笑)。



お尻たたかれお笑いの道へ



松田ナビ:ヤンチャだったのが分かりました(笑)。世代が一緒だから背景も分かる。お笑いを本格的に始めたのはいつ?

じゅん選手:26歳ぐらい。お笑いやりたい気持ちはずっとあったんですよ。でも16歳の時に実家を出て日々の生活に追われていたんです。実は中学校は出席日数が足りず、僕を更生させようと愛情を持って接してくれる先生にお世話になりました。その先生のお陰で高校に入学できたので、絶対に中退しないと決めて頑張ったんです。学園祭では中退しそうなメンバーを誘って僕がリーダーになり、当時流行っていた氣志團のまねをしました。厳しい稽古を続けていたら団結力が生まれて、本番では上級生よりウケました。「卒業生が一番多い」、つまり中退者が少ない学年だと言われましたよ。

松田ナビ:お笑いという雰囲気ではないな。



じゅん選手:はい、卒業後はみんな仕事に就き僕は工事現場で働きました。その中に一緒に氣志團をまねた同級生もいて、そいつはもともととんでもない不良だったんですよ。でも20歳過ぎて飲みに誘っても絶対行かないので気になっていたら、ある日連絡があり「国家試験受かって病院で働く」と報告されました。彼は1人でずっと勉強していたんですよ。「高校を辞めようとしていたらお前に会って頑張れたから、恩がある」と言ってくれました。「お前は建築業以外のこともできるんじゃないか!? 人を笑わせてまとめるのが得意だから、やりたいって話していたお笑いはどんなか〜」って言われて。

僕はプライドを持って建築の仕事をしていましたが、この人が試験に合格したことでケツたたかれた感じになりました。それで次の日(事務所の)オリジンに電話したんですよ。初めて訪ねた時、知らない僕にみんながあいさつしてくれて感動しました。工事現場では知らない職人にはあいさつしないので、ビックリして返事はできなかったんですけど(笑)。壁に向かってネタの練習をしているピン芸人さんを見た時は、「この人売れなくて頭おかしくなったのか!?」って思いましたよ(笑)。芸人はしゃべって笑わせればいいとしか思っていなかったので、分からないことだらけでした。でも「僕の芸ごとです」と社長の前でしまくとぅばをしゃべったら、「ヤバイやつが来た」とみんなに紹介してくれたんです(笑)。

松田ナビ:そうなるよな〜(笑)。若い世代でこんなにしまくとぅば操る人、いなかった! タイムスリップ感覚を与えたんじゃないかな。

じゅん選手:みんなの前でしゃべったらポカ〜ンとされて、ノーブレーキのブーブーに「事務所間違ってるんじゃない?」って言われたの覚えている(笑)。


2019年、那覇市と那覇署の交通安全県民運動出発式・総合警戒出発式に出席

松田ナビ:同級生にケツたたかれたことがお笑いを始めたきっかけなんだ!

じゅん選手:他にも重なりました。現場で職長をしていた頃だったんですが、僕が腰痛で休むと現場メンバーがこなしきれないと会社から連絡が入ったんです。将来独立したい気持ちもあったんですけど、結局全部自分の責任か〜とか、ずっと続けて体を悪くしたらどうなるんだろうと考えました。そしたら現場の材料屋がたまたまベンビーさんのお兄さんと友達で、紹介してもらってオリジンとは縁があると感じたんですよね。

松田ナビ:タイミングが一致したんだ! 高校の時にみんなを引っ張ったりとか、職長をやったりとかリーダータイプかな?

じゅん選手:お笑いはそうでもないですけどね。主催ライブなどは気合い入れてやりますが、正直最近はハングリー精神が薄れてきています(笑)。あれもこれもやらんといけんって期限や制限ができたら、おかしくなるんですよ。

松田ナビ:カツカツでやるよりも流れに身を任せるくらいゆとりを持ってやった方が、上手く行く時もあるみたいな・・・ちょっと分かるかも。お笑いは余裕がない時はやりにくい。

じゅん選手:学生の時や工事現場ではもっと完璧主義者だったかもしれません。稽古もっとやろうとか、現場でもうるさく言うこともあったので。

松田ナビ:ピン芸人が合っているかも。相方がいたらケンカになりそうだ(笑)。

じゅん選手:相方いたら厳しくしていたかもしれないですね。

松田ナビ:僕も相方にはつい言ってしまう時があるから分かるよ(笑)。

じゅん選手:3人だから難しくないですか?

松田ナビ:難しいよ! だから1人できるピン芸人さんはうらやましい(笑)。お笑いをやっている環境で、じゅんは特殊な存在だと思う。ピン芸人でしまくとぅばをたくさんしゃべって・・・そんなタイプあんまりいない。孤独を感じたりしませんか?

じゅん選手:感じますね。そういう時はちょこっと相談。事務所の同期、「首里のすけ」には言いやすいです。今ここで言えないようなこととか、話していますよ(笑)。


同期のコンビ「しんとすけ」との3人ユニット「じゅんとすけ」で、ライブを開催


ウチナーグチを常にアップデート!



松田ナビ:昔の芸達者な人たちの能力と若い脳味噌を持ったハイブリットが、じゅん選手。だから本当にすごいと思っています! 知名度が上がったのはテレビに出てからですか?

じゅん選手:そうです。自分の中では作戦があったんですよ。テレビに出たら名前をネット検索する人がいると思い、オンエアの数時間前にネタ動画をたくさん上げたんです。自分ではアップできないから芸人仲間にバイトを休んでとお願いし、協力してもらいました(笑)。お陰さまでたくさんの人に動画を見てもらえたんです。

松田ナビ:あの時はすごかった! わ〜って人に囲まれたりして「じゅん選手ブーム」だった! 多分周りの芸人さんは「沖縄でもブレイクがあるんだな」と思ったはず。1つの道標になったというか、こんな現象が起こるんだっていう。

じゅん選手:でもあの時期、僕は「チャーヤガ(どうなんだろう)!?」と思って、飲みに出掛けたりなどしなかったんですよ。「今後どうなるのかな〜」ってお家で考えていました。こんな状況は続かないから、終わった時に何をしようかなって考えていたんですよね。ネタは自信がありましたが活動を始めたばかりで、難しく感じることもありましたから。

松田ナビ:聞いて覚えるしまくとぅばのラーニングCDを出していますし、やっぱりしまくとぅばや沖縄文化を残したい思いがある?

じゅん選手:残していきたいです。僕本当に沖縄が大好きで、ウチナーンチュ芸人を続けられたらいいんです。県外に行って芸人やろうって1ミリも思ったことない。



松田ナビ:沖縄でお笑いをやっていく上でのポリシーを教えてください。

じゅん選手:しまくとぅばになじみのある人は「じゅん選手がよく使う」など慣れてきた言葉もあると思いますが、常に進化させたい。言葉の勉強が好きなのでしまくとぅばの新しいフレーズを使って、もっと上手にウチナーグチをしゃべっていきたいです。

松田ナビ:なるほど! ウチナーグチをアップデートしていくんだ。

じゅん選手:ネタとしてのウチナーグチは覚えられるけれど、話し言葉もずっとしゃべる人はあまりいない。自分は話し言葉も全部ですし、ウチナーグチの中でもクオリティーはじめいろいろとあるので勉強していますよ。言葉の勉強は楽しいですし、おじさんたちとウチナーグチでおしゃべりするのも楽しい。

松田ナビ:一体どこでおじさんとしゃべっているの(笑)?

じゅん選手:話しかけられた時に10分くらい立ち話。「ヌーヌワジャソーイビーガー?(なんの仕事をしているんですか)」から始まって、家族構成まで聞いています(笑)。

松田ナビ:しまくとぅばだとうれしくなって会話が弾むんだ(笑)。最後に今後の展望を教えてください。

じゅん選手:お笑いだけでやっていきたい気持ちはありますが、工事現場も好きなので現場の仕事も続けながら活動します。沖縄の文化に貢献できるような人間になりたいと思って頑張りますので、よろしくお願いします。




【対談を終えて・・・】

☆じゅん選手☆
芸人同士で生い立ちとかまではなかなか話さないので、とても照れくさかったです。でも正さんが「そうなんだ」って興味を持って聞いてくれて、楽しかったです。

☆松田ナビ☆
しまくとぅばをしゃべり、沖縄の文化に強くて、しかもネタも面白い! 唯一無二の芸人さんの生い立ちが聞けたので、とても楽しかったです。




【プロフィール】


★じゅん選手(じゅんせんしゅ)
本名:大城 純
生年月日:1985年10月16日
出身地:北中城村
趣味:人を笑わせて、笑ってる人を見て笑う
特技:うちなーぐち、絶対怒らない、お金を拾う 
Twitter:@junsensyuu

★松田 正(まつだ しょう)/初恋クロマニヨン
生年月日:1984年8月22日
出身地:読谷村 
趣味:ソフトボール/漫画
特技:野球
Twitter:@hatsukoimatsuda

 



 


【インフォメーション】



CD「じゅん選手のカチャーシー講座」好評発売中!


【じゅん選手コメント】
前歯出してることに気づき、曲も出そうと思いました。
タイトル通り、沖縄でお祝い事などで踊られている『カチャーシー』というダンスをギャグを交えながら、県外の方やお子さんにも楽しく理解してもらえる曲となっています。
お祭りやイベント・行事等で沖縄の風を感じられるような曲を作りたかった。
また、しまくとぅばも取り入れているので、沖縄好きの皆さんにはピッタリな1曲です。

 【曲目リスト】
1.じゅん選手のカチャーシー講座
2.じゅん選手のカチャーシー講座 ~じゅん選手グチバージョン~
3.じゅん選手のカチャーシー講座 (カラオケバージョン)
4.じゅん選手のカチャーシー講座 ~じゅん選手グチバージョン~(カラオケバージョン)
唄・作詞:じゅん選手
作曲・編曲・サウンドプロデュース:スエヨシヒデユキ
華やかし:首里のすけ(しんとすけ)
お問い合わせ:オリジン・コーポーレーション 電話:098-866-6118 / E-mail:origin@wine.ocn.ne.jp
公式サイト==> http://origin-oze.com



よしもと沖縄花月フライデーナイトライブ(YOFライブ)「よしもと-Uchinah-ランキング」

日時:3月13日(金)19:15開場/19:30開演
料金:前売り・当日ともに1500円 
ゲスト:プラスマイナス
内容:よしもと沖縄芸人全組出演!お客様の投票でランキングが決定します!
会場:【よしもと沖縄花月】
那覇市前島3-25-5 とまりんアネックスビル2階 (マップはこちら
お問い合わせ:098-943-6244
公式サイト==> http://www.yoshimoto.co.jp/okinawakagetsu/




饒波貴子(のは・たかこ)
那覇市出身・在住のフリーライター。学校卒業後OL生活を続けていたが2005年、子どものころから親しんでいた中華芸能関連の記事執筆の依頼を機に、ライターに転身。週刊レキオ編集室勤務などを経て、現在はエンタメ専門ライターを目指し修行中。ライブで見るお笑い・演劇・音楽の楽しさを、多くの人に紹介したい。



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