黒糖で漬けたダイコンのお味は?あばあのレシピをまるまる伝授! 【島ネタCHOSA班】


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2月21日付の琉球新報の紙面で、浦添市の96歳の女性が黒砂糖を使った漬物作りを地域の人々に教えた、という記事がありました。私も作り方が知りたい! そしてお味はどんな感じなんでしょう!

(那覇市 うめぼしじょーぐー)

その記事、調査員も気になっていました! 黒糖を使った漬物とは、地漬(ジジキ、ジージキ)のことですね。作り方も味も気になります。

ということで、紙面の中で、地漬作りを教えたという松田喜代さんのお宅を訪ね、レシピを教えてもらうことにしました。

3年ものにおどろき

松田さんが漬けたダイコンの地漬。右のあめ色のものが7カ月漬けたもの。左の黒いものはなんと3年もの! 良いお酒を思わせる深い風味があります

「色の薄い方は7カ月、濃い方は3年浸けたものです。まずは召し上がってみて」

今年カジマヤーを迎えたという松田さんはとっても明朗な方。お宅を訪れた調査員に百聞は一食にしかず、ということでダイコンの地漬を出してくれました。漬けてから7カ月というものは、大根の辛味がきいていてご飯に合いそう。これはおいしいですね! 感動しながら3年ものに箸を伸ばすとさらにおどろきが。古酒(クース)を思わせるような香りと、まろやかな甘みが感じられます。沖縄にこんな漬物があったとは。

「3年ものは香りが全然違うでしょう」と松田さんも笑います。今帰仁村運天生まれの松田さん。自身の定年退職を機に、老後何をしようかと思案した際、戦前に両親や近所の人たちが地漬をお茶請けに団らんしていたことを思い出したそう。そこで、本などを参考に漬け方を研究したそうですが、納得いく出来になるまでには10年以上かかったのだとか。

松田喜代さん(左)と娘の座間味正枝さん。現在96歳の松田さん。「親が漬けていたのを樽(たる)から取って食べた」と覚えていた地漬を、自分でも作れるようになりたいと研究を重ねました

レシピを伝授

松田さんが研究し編み出したダイコンの地漬のレシピは次の通り。

 ①ダイコンは皮をむき、縦に半分に切る。それをさらに3等分に。

 ②塩500㌘をダイコンにすり込み、水分を切りながら、3~4日漬ける。これを「下漬け」といいます。重しなども使いダイコンの水分をしっかり出しましょう。ダイコン2㌕に塩100㌘が目安です。

 ③下漬けの終わったダイコンはつけ汁(ダイコンからでた水分)で洗います。

 ④ダイコンに白砂糖をすり込み「塩抜き」をします。ダイコン10㌕に白砂糖1㌕を目安に。

 ⑤しばらく塩抜きしたダイコンを、キッチンペーパーなどできれいに拭き、黒糖で「本漬け」します。漬け物瓶などの底に、粉末の黒糖をひいてから、そのダイコンを詰めます。ダイコンの上からさらに黒糖をふりかけ、またダイコンを詰め、黒糖をふりかける、を繰り返します。ダイコン10㌕に対し、砂糖3㌕が目安です。

 ⑥瓶の表面に泡が浮いてきたら、その都度粉末黒糖を足しましょう。本漬けを始めて7カ月目くらいから食べられますが、1年以上置いた方がおいしいですよ。

調査員も家族を巻き込んで地漬作りに挑戦してみました。

①下漬けのため塩をすり込んだダイコン。
②3~4日下漬したダイコンをつけ汁で洗う様子。

③本漬けの際は黒糖→ダイコン→黒糖→ダイコンと交互に瓶詰めしていきます。
④ひとまず瓶詰めは完了。目指せ3年もの!

今回のレシピを応用すれば、トウガンや島ラッキョウ、ゴーヤーでも地漬を作ることができるそうです。

松田さんのレシピをたよりに、調査員も地漬を作ってみることにしました。家で慣れない手つきでダイコンを扱っていると、見かねた調査員の祖母(80代)があれこれとアドバイスしてくれました。「うちでは泡盛も瓶に入れていたね」などと教えてくれます。どうやら80代以上の方だと、地漬を作っていた様子を覚えていることがあるようです。

戦前は、各地で作られていたという地漬。きっと家庭ごとの味もあったことでしょう。紹介した松田さんのレシピや身近なお年寄りの話を頼りに、おうちで作ってみてはいかがですか。

(2020年4月16日 週刊レキオ掲載)