ペットも新型コロナに感染の可能性!? 獣医師の先生に聞いた愛する家族を守るための注意点


社会
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新型コロナウイルスの感染拡大にともない、「飼い主が感染したらペットはどうなるの?」という不安がペット飼育者の間で広まっています。そこで今回は公益社団法人沖縄県獣医師会の「災害時動物救護対策委員会」の委員長を務める獣医師の周本剛大先生にペットにおける新型コロナウイルスの現状と注意点などをお聞きしました。

ペットから人の感染は現時点での報告はありません!

周本剛大先生

新型コロナウイルスは災害のひとつ

「災害時動物救護対策委員会」は、大規模災害や事故の際に動物救護活動を行うことを目的に、災害派遣獣医寮チーム(通称:VMAT)を結成しましたが、新型コロナウイルス(以下新型コロナ)などの感染症も災害のひとつとして捉えています。

新型コロナの起源がコウモリではないかと言われるように、感染症は動物が関わることが少なくありません。このため獣医師は感染症について多くを学んでいるため、その知識をいかして公衆衛生の分野から社会へ貢献できると思います。
 

ペットの感染について

現在、ネコやイヌ、トラ、フェレットなど動物の陽性反応が世界で報告されています。ネコはイヌよりも発症リスクが高いと言われ、呼吸器の障害や下痢などの症状も報告されています。イヌは陽性反応が出ても発症例はほとんどないと言われています。

ペットから人への感染は現在のところ報告されていません。ただヨーロッパではミンクから人に感染したことが報告されているので、ミンクと同じイタチ科のフェレットは注意が必要かもしれません。

※イメージ写真です

◆注意すべき点
①屋外での感染について
ペットは飼い主以外にも屋外から感染する可能性も少なからずあります。感染した人のくしゃみや咳で飛び散った唾液を舐めてしまった場合などです。新型コロナウイルスは72時間感染力を維持すると言われているため、イヌの散歩中の行動に気を配り、ネコは室内飼いにするなど注意が必要です。

②感染者のペットの預かりについて
沖縄県では感染者のペットを預かってくれる施設は現時点ではありません。対策としては健康なうちに信頼のおける預かり先(ペットホテルを含め、家族・友人・知人など)を探しておくことです。

<ペットを預ける場合>
・飼育上の注意点などの情報をまとめておく(ペットの名前、年齢、性別、性格、健康状態、かかりつけの動物病院、飼育の注意点など)
・飼育に必要な用具を準備する(リード・遊び道具・首輪、常備薬・療法食など)

<感染者のペットを自宅で預かる場合>
・受け渡し時に感染者と接触しない
・14日間の隔離が望ましい
・必要以上にペットを触らず、マスクや手袋をして世話をする
・作業の前後に手指を消毒する

※アメリカの獣医師会の研究ではペットの被毛からの感染は低いと言われていますが、まったくゼロというわけではありません。

③ペットのPCR検査
原則的には飼い主さんが新型コロナに感染したからと言って、飼育しているペットがPCR検査を受ける必要はありません。症状が出て重症化した場合はPCR検査を考慮しますが、多くのペットは軽症か無症状で推移する可能性が高いため、その状態で動物病院に行くことは、むしろ感染者のペットを介して感染が広がってしまうリスクの方が懸念されます。まずは自宅でペットの様子をよく観察してください。

感染者のペットから採取した検体は県外で検査が行われるため結果がでるまで時間がかかります。検査を依頼する場合は、必ず事前にかかりつけの動物病院などに問い合わせてください。


<取材協力>
琉球動物医療センター 院長 周本剛大

豊見城市与根5-27
098-851-2211
https://www.ryukyu-animal.com/

参考URL(環境省)
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/coronavirus.html