スマホアプリによるプライバシーの追跡 -モバプリの知っ得![130]


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iPhoneを使っている方でアプリを開いた時に「このアプリが他社のAppやWebサイトを横断してあなたのアクティビティの追跡することを許可しますか?」という表示を見たことはないでしょうか。これはiPhoneを作っているApple社が私たちのプライバシーの取り扱いに関して問うてくる「アプリトラッキングの透明性」という新機能です。

この件を詳しく説明する前に身近な事例を紹介します。みなさんが何か欲しいものをスマホで検索した際、その後ほかのアプリやSNS、Webサイトの広告に、検索した製品(あるいはライバル会社の製品)が出てきたことはないでしょうか?これは私たちが「調べる・保存する・クリックした行動」を解析し、それを広告に反映させているからです。私たちが欲しいと気になっているものを一日に何度も見せられるとどんどんと欲しくなってくると思います。この仕組みを知らないと「何度も広告で出てくるって運命なのかな!?」と勘違いする人も出てくるかもしれませんね。この行為が、「プライバシーが侵害されてるんじゃないか」ということで、アメリカでは批判が高まっており、アプリがデータを横断する際は許可をとるようになったという流れです。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

ほとんどのWebサイト・スマホアプリ・SNSは無料で利用することができます。それは多くの場合「広告」を表示するから実現できていることです。無料だから大きな声で文句は言いにくい気持ちもありますが、IT企業の大手が集まるアメリカでは、こうしたユーザーのプライバシーの追跡に関して反発も出てきています。検索エンジン・YouTubeを運営するGoogle、InstagramをかかえるSNS最大手のFacebookなどはユーザーのプライバシーを集め、無料で提供するビジネスモデルです。その一方、スマートフォンやタブレットを販売して売上を築くApple社はこうしたプライバシー問題にはノーを言いやすい立場※1です。

そのため今回は「新機能」としてアクティビティの追跡の許可を確認してきています。これを許可するかしないかは、個人の判断となります。好きなアプリを応援するつもりで、自身のプライバシーデータを提供する形を選んでもいいしでもいいし、好きじゃないアプリにはデータを与えないといった判断を個別に行いましょう。それよりも、一番大事なのは許可する・しないよりも、日常的に使っているサービスがどういう収益構造で成り立っているのかを知ることだと思います。無料ならなぜ成り立っているのか、そういったところも含めて使うなかでは判断していくことが必要。日常で使っているアプリやサービスのビジネスモデルを考えるいい機会だと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=EeO6qzmYBhY

※1…ユーザーのプライバシーを収集し広告で売上を立てるGoogle・Facebookと違ってAppleはプライバシー問題に厳しく対処しユーザーの味方になっている反面、スマホアプリの売上の手数料を巡って人気ゲーム「フォートナイト」を開発しているエピック社と訴訟になり、アプリストアからフォートナイトを排除し、ユーザーの失望を招きました。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」5月30日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/