CDCも“最大の経路”と認めた…空気感染のリスク高める3つの状況

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(写真:共同通信)

「感染力が従来型より1.32倍、重症化率は1.4倍高いイギリス型と同じ変異を持ち、かつワクチン効果を弱めるインド型と似た変異を持つ“新たな変異株”が日本で初めて発見されました」(神戸市保健局の担当者)

6月1日、神戸市はイギリス型とインド型の特徴が重なったハイブリッドの変異株が見つかったことを発表した。この新たな変異株について、担当者はこう続ける。

「感染したのは50代男性。世界では欧州中心に150例ほど確認されていましたが国内では初です」

そして6月4日、この変異株について、さらに4人の感染が確認されたと神戸市が発表。感染経路はわからず、すでに市中に広がっている可能性がある。

ここにきて、次々と見つかる変異株。新型コロナウイルスに対する脅威が高まるなか、飛び込んできたのが米国発の衝撃レポートだ。米国疾病対策センター(以下CDC)は5月7日付の最新版として3つの感染経路をあげている。

【1】エアロゾル感染

感染性ウイルスを含む非常に小さな飛沫やエアロゾル粒子を運ぶ空気の吸入。感染源から3~6フィート(約1~2m)以内で感染リスクが最大になる。

【2】飛沫感染

吐き出された飛沫や粒子に含まれるウイルスが粘膜へ沈着する。

【3】接触感染

触れた手を通じてウイルスが体内に入る。(CDC改訂版より)

■最も注意すべき感染経路は空気感染

このなかでも《エアロゾル感染が最も注意すべき感染経路である》と見解を見直したのだ。感染制御学を専門とする愛知県立大学の清水宣明教授は、こう解説する。

「感染経路のメインを空気感染に据えたということです。CDCの言うエアロゾル感染は空気感染と同じ。そもそもエアロゾルは物理学用語。ふわふわと浮かぶ微粒子のことで医学用語ではありません。従来は飛沫感染と接触感染が主な経路だと主張していましたが、昨年10月に空気感染を少し認め、今回、ついに最大の感染経路だと認めたのです。インドもイギリスも感染力の強い変異株に置き換わりました。空気感染しなければ、ここまで感染が広がることは考えられません」

CDCは、感染者が15分以上、換気の悪い閉鎖空間などに滞在した場合、6フィート(約2m)以上離れた場所でも感染リスクがあること。さらに感染者が退出した直後の空間を通過しただけでも感染リスクがあると指摘している。清水教授が続ける。

「飛沫感染と違い、感染者の呼吸で吐き出されたウイルスが換気されない限り漂い続けるので、その人がいなくなっても、その空気を吸い込めば感染するということです。たばこの煙と同じです。煙モクモクの喫煙室を想像するとわかりやすいです。物の表面とかではなく“空間の汚染”という認識を持たなければいけません」

CDCは感染リスクが高まる3つの状況を挙げている。

(1)換気が不十分な閉鎖空間。口や鼻から出たエアロゾルの濃度が高くなりやすくなるため。
(2)運動、歌を歌う、叫ぶといった行為。吐き出される息の量が多いので、エアロゾルの量が増える。
(3)前記2つの状況にある屋内空間での滞在時間が長い。特に15分以上滞在すると感染リスクが高まる。

■空気感染対策はとにかく換気と2重マスク

清水教授は、空気感染対策として何より換気が大事だと強調する。

「私たちは煙を使って換気を評価していますが、20分に1回窓を開けるぐらいでは空気はうまく出ていかないことが多い。東京都の多くの飲食店の対策ではまだ不十分でしょう。山梨モデルは換気の基準を指導しているのでいいですね。行政は早急に換気の基準を作って対策を強化すべきです。

変異株はウイルス量が多いので、空間を濃く汚染します。感染力1.7倍は吸い込んだウイルスが1.7倍細胞にくっつきやすいというより、体の中で1.7倍効率よく増えていくということです。倍々ゲームのようにウイルスが細胞から細胞に広がるため、短時間に従来型とは比べものにならないぐらいウイルスの生産工場となる感染細胞が増えていくのです」

日常生活の注意点として、通勤電車での感染はありえるという。

「特急や飛行機は換気がよく、超満員ではありませんので、感染は起きにくいですが、換気が劣る満員電車での通勤通学では、感染は起きうると考えたほうが合理的です。

ただ現状、通勤電車での感染があっても大規模にはならず、車両まで特定はされずに経路不明として扱われることになります。そこが飲食店と違うところです」

強力な変異株に感染しないためには、日々の生活のなかでどんな予防をすればいいのだろうか。

「手洗い自体は衛生的によいので続けるべきですが、過度な拭き掃除や消毒は必要ありません。質のよい換気に力を入れるべきです」

具体的な換気策としては、送風機を積極的に活用すること。

「屋内の場合、空気の入口と出口を開けて、それらを結んだ直線上に扇風機やサーキュレーターを置き、出口に向かって常に強い風を送ります。空気を押し出すのです。そうすれば、周りの空気が巻き込まれて、室内の空気がよく出ていきます。部屋の中でも風を感じるくらいが理想です」

マスクは有効だが、清水教授は2つ重ねて着けることを勧める。

「空気中にウイルスが漂っていれば、マスクをしていてもわずかに吸い込みます。ウイルスは少しくらい吸っても感染しませんが、大量に吸えば感染します。変異株は大量に漂うので感染しやすいです。そのため、マスクは二重にしたほうがいい。マスクは上下左右の脇に隙間ができて空気が漏れやすい。すると、飛沫は防げてもウイルスを吸ってしまいます。二重にして脇を締めることが大事です。CDCのデータも、脇漏れを防げれば、一般の不織布マスクでも医療用N95マスクに匹敵する性能が得られることを示しています」

二重が苦しければ、脇を締めるだけでも有効なので外側はウレタン製のマスクでもいいそうだ。

「内側が少し小さめ、外側が少し大きめにするといいようです。自分に合うサイズを選んでください」

これ以上、感染を拡大させないよう徹底した換気と二重マスクで、“鉄壁自衛”するしかない――。

「女性自身」2021年6月22日・29日合併号 掲載



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