女性の健康づくりを支援 県内11カ所で生理用品の「ナプちゃんセット」を無料配布


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

女性の健康を支援

平均収入、離婚率、子どもの貧困が全国ワーストクラスの沖縄県。経済的な事情で生理用品が買えない女性たちもいます。生理用品が使えなければ安心して学校や職場に通えず、健康な毎日を送れません。そんな女性たちを支援しようと、県婦人連合会が県保健医療福祉事業団と共催で生理用品の無償配布に取り組みます。

無料配布を主催した沖縄県婦人連合会の皆さん。(左から)事務局の當山千賀子さん、副会長の波平 道子さん、会長の與那覇信子さん、副会長の與儀利枝さん、事務局の諸見里清江さん
社協や県内大学等でチラシも配布しています

配布について

 祝日を除く7月5日㈪から8月31日㈫まで、希望者に県内11カ所の配布場所窓口で配布(配布先はこの記事の下をご覧ください)、なくなり次第終了します。

 生理用品と口にしにくい人もいるので、生理用品のセットは「ナプちゃんセット」と命名しました。

「今年になって、全国的に『生理の貧困』が問題になり始めましたが、私たちは以前から、県内の女性たちの間でそういった問題があることを知っていました」と県婦人連合会 会長の與那覇信子さん。生理用品が買えないと安心して学校や職場に通えず、毎日の生活に支障が生じます。交換の頻度を減らすことで感染症のリスクが高まるのも問題です。

生理の貧困が招くもの

「でも困っている方は、なかなか口に出しては言いません」。特に学生や若年者は、生理の貧困を相談できず、悩んでいるケースが多いといいます。

「生理用品を買えなくて学校や会社に行けなくて、引きこもりになってしまったという話をたくさん聞きました。コンビニで生理用品を万引してしまう事例もあります」

背景にあるのは、県の平均収入の低さ、離婚率の高さ、子どもの貧困。「困窮家庭への支援はなされていますが、これまで生理用品の支援がなかったんです。女性の健康に関わる大切なものなのに…」

社会全体の問題として

「私たちがやらなければ、誰がやるの?」。県女性連合会は、生理の貧困に悩む女性たちを支援するため、昨年末から生理用品の無料配布を企画。同連合会が主催し、共催・県保健医療福祉事業団、協力・県労働者福祉基金協会という体制で「女性の健康づくり支援事業」の実施が決まりました。生理用品4300セットの配送は、趣旨に賛同したホームセンターさくもとが協力しました。

「県婦人連合会から相談があり、県保健医療福祉事業団も協力することを決めました。生理の貧困からは、心と体の不調が生じます。女性だけでなく、社会全体の問題として考えることも必要ですね」と県保健医療福祉事業団 健康づくり課 主任 大山朝輝さん。無料配布に真剣に取り組む意義は大きい、と話します。

共催の県保健医療福祉事業団 健康づくり課主幹の香村夏織さん(左)と同課主任の大山朝輝さん(右)

女性の健康づくり支援事業 実施団体概要

【主催】
一般社団法人 沖縄県婦人連合会
県各市町村の婦人会の総意を発揚し、その自主的運営の指導援助と連携を図り、男女共同参画の推進、青少年育成、家庭生活の刷新、高齢化社会の対応、福祉増進、世界平和の確立、SDGsの実現につとめています。県交通安全母の会連絡協議会、県結核予防婦人連絡協議会とも密接に連携しています。
※寄付や一緒に活動してくれる方を募集中。
問い合わせ ☎︎ 098(884)5333

【共催】
公益財団法人 沖縄県保健医療福祉事業団
県民の保健及び医療の向上と福祉の増進に関する事業を行い、県の保健医療福祉に寄与することを目的としています。健康づくり運動普及啓発事業の一環として、健康づくりを啓発するイベント、講演会を開催するほか、楽しく読める健康情報誌「kenko ISLAND」を発行しています

【協力】
公益財団法人 沖縄県労働者福祉基金協会
ホームセンターさくもと

問い合わせ 県婦人連合会 ☎︎ 098-884-5333
※配布状況は、以下のホームページに掲載します。
 沖縄県婦人連合会 https://www.okifuren.com/
 沖縄県保健医療福祉事業団 https://www.kenkou-island.or.jp

(2021年7月1日付 週刊レキオ掲載)