ドラマ・映画・舞台! 俳優として絶好調のガレッジセール川田さん


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エンタメ界の「気になる・知りたい」をリサーチ! メディアや舞台で活躍するあの人、陰で支えるスタッフや関係者を直撃して謎解きします。

第二回のゲストは、ガレッジセールの川田さん。どうやら川田さん、俳優としてのお仕事が忙しいようで・・・今月は舞台役者として「民宿チャーチの熱い夜19」に出演。どんな内容の舞台なの? 川田さん出演のきっかけは? など聞いてきました。

※取材日:2021年6月28日
 写真撮影時のみマスクを外していただきました。
聞き手:饒波貴子(フリーライター)

NHK朝ドラ、20年ぶりに出演決定!

―映画出演にNHK朝ドラへの出演が決定、そして舞台でメインキャストを務める川田さん。俳優としての活動が続きますが、どんな心境ですか?

いろいろなタイミングと今まで続けてきたことが重なって、この状況になった感覚です。全ての作品が沖縄に関わるものなので、とにかく本当にうれしいんですよ。沖縄のためになってほしいと思っていますし、もちろん自分のためにもなるという気持ちです。

―2022年春から放送予定のNHK朝ドラ、連続テレビ小説の『ちむどんどん』。沖縄が舞台のドラマということで県民にとってうれしい話題です。川田さん、出演が決定したそうでおめでとうございます!

ありがとうございます! 2001年放送の『ちゅらさん』から、20年ぶりの出演になります。めちゃめちゃうれしいですよ。マネージャーから出演決定の連絡が来たのは、実は新型コロナウイルス感染中でへこんでいる時でした。「決まりました」と知らされ「やった〜!」と元気になりましたね。去年は舞台で真面目なお芝居に取り組み、その前には真剣に映画撮影に臨んでいたので、その姿勢が伝わってオファーが来たと思っています。ひたすら真面目にやってきて良かったな〜という気持ちですよ。撮影はこれから始まるので、楽しみにしているんですよ。

―川田さんの演技に注目します! 最近は舞台役者としても活動しているそうですが、どんな舞台なんですか?

「デッドストックユニオン」という東京の役者チームが制作している舞台、「民宿チャーチの熱い夜」に出演します。舞台は今年で19年目。作・演出担当で出演もする渡辺熱さんを中心に東京で公演しています。沖縄にある民宿の話で、毎年ウチナーンチュ(沖縄県出身)の役者が数名出演しています。僕は去年に続き今年も出演します。去年、初めて沖縄公演を行いましたが、それはある家族を励ますために沖縄での開催が実現したという経緯がありました。今年もぜひ沖縄でやりたいということになり、「7月23日(金)〜24日(土)に沖縄市民小劇場あしびなー」での開催が決定しました。

―沖縄をテーマにした舞台を20年近く、東京で行なっているとはビックリです。作り手で演出家である渡辺さんは、どうしてそんなに沖縄にこだわっているのでしょうか?

「とにかく沖縄が好きだから」ということみたいです。沖縄で公演するのが夢だと言っていて、去年僕も「やりましょうよ〜」と声掛けして念願叶いましたが、普段台本などを全然見ない渡辺さんがず〜っと楽屋で台本をめくりながら緊張していたんですよ。それを見るのが面白かった(笑)。本場の沖縄でやるのは怖い、という気持ちでドキドキしていたみたいですね。公演を終えた時は、感激のあまり泣いていましたもん。「うわ! 泣いている」っておもわず笑っちゃいました(笑)。

―渡辺さんや「デッドストックユニオン」とはどうやって出会ったんですか?

後輩の宮川たま子が紹介してくれました。たま子は『民宿チャーチの熱い夜』に数年前から出演していて、ガレッジセールの東京ライブに渡辺さんを連れて来てくれたんです。その時コントを見た渡辺さんが「川ちゃん、芝居もいけるからやってみようよ」と声掛けしてくれ、まず映画撮影からスタートしました。『だからよ〜鶴見』という作品で、神奈川県横浜市の鶴見区が舞台。沖縄南米タウンと呼ばれる鶴見区は、沖縄色あふれるエリアなんです。渡辺さんが監督・脚本を担当した映画で、その時に「舞台も面白いからやってみない?」と言われました。「沖縄の言葉で話すとか、沖縄に関係する作品だったらうれしいです」と伝えたら、バッチリだよという答えをいただき、去年『民宿チャーチの熱い夜』に出演したという流れです。

―渡辺さんとのお仕事は映画監督と主演男優、という関係で始まったのですね。沖縄を代表するお笑い芸人の川田さんが出演してくれるのは、うれしかったんじゃないですか!?

うれしいようです。毎年出てほしいという感じになって。渡辺監督もすごい気合いが入っています。

芝居とコントは全く別もの

―去年初めて出演した「民宿チャーチの熱い夜」という舞台。演じてどうでしたか?

良かったんですよ! 僕らは今までお笑い、つまりコントで伝えてきましたが、こんな伝え方もあるんだなと勉強になりました。そして沖縄にルーツを持つ自分にとっても、意味ある体験だと思えました。他県出身者の視点で見る沖縄、ウチナーンチュから見る沖縄。さらに僕には東京で暮らしながら感じる沖縄もありますし、いろんなものがミックスされて、すごくいい舞台作品ができあがったんです。今は稽古の最中で7月13日に東京公演の初日を迎えますが、笑って泣ける素晴らしい作品に仕上がりつつあります。

―民宿で繰り広げられる物語のようですが、沖縄にある設定ですか?

そうです。沖縄にある民宿の話で、基地問題やアメリカとの関わりなど今まで実際にあったような出来事がベースになっています。コロナ禍だった去年は、コロナウイルス問題がテーマでした。今年もまだコロナが収まっていないのでその話題を入れ、戦争にもリンクさせながら命の選別について考えさせられるような内容になっています。そういう深いところをテーマにしていますが、ただ重いだけではなく笑えて泣けるお芝居です。去年はお笑いだと思って見に来た友達が、見終わってみんな泣いていたんですよ。「ありがとう」とか言ってきて、普段言われたことない友達からだと気持ち悪く感じたほどですよ(笑)。「なんでありがとうか〜」って照れくさくなりました。そんな風に、見たことなかった友達のリアクションを見るのが新鮮でしたし、観客のみなさんを感動させる作品だと実感しました。こんな時代だからこそ見てほしいという気持ちで、お笑いとは違うお芝居をたくさんの人に見ていただきたいです。

―川田さんはどんな役を演じますか?

去年に続き「金城シンゴ」という役で、平和とかチムグクルを大切にしている青年ですが、周りからはちょっとヤッケーシージャー(やっかいものの先輩)扱いされている感じ(笑)。ちょっと自分に似ているかもしれません(笑)!?

―役作りはしますか? 「おきなわ新喜劇」をはじめ数々のコントを演じてきた川田さんですから、舞台の表現は共通しているのではないですか?

役作りというか、ストーリーをきれいにつなげたいので、せりふを頭に入れるなどしっかり準備します。今までは「お客さまを笑わせたい」と思ってきましたが、芝居をやる時は「思いを伝えたい」という気持ちの方が大きいです。「おきなわ新喜劇」やコントなど、お笑いとは全然違いますよ! 演じ方や空気感、すべてが全く違います。極端にいうとコントは大げさにやれば、笑いになりやすく伝わると思うんです。お芝居はその逆で、大げさにやれば冷める。お笑いはボケてツッコミを入れて進めますが、お芝居は自然に演じてストーリーで笑わせる。初挑戦だった去年はそこが難しかったです。「今までの笑いの取り方ではダメなんだ」と葛藤があり、全部ゼロにして取り組みました。

―演じるという意味では、通じるものがあると思っていました。そんなに違うんですね。

本当に違います。僕の場合、芝居のテーマが沖縄だとやりがいを感じます。このテーマだからこそ、ここまで気持ちが入るんでしょうね。

―「民宿チャーチの熱い夜」は今年19回目で来年20周年。今後も関わっていきますか?

そうですね。沖縄の良さを東京の人にももっと知ってほしいので、毎年参加できたらいいなと思っています。沖縄の人は東京から見る沖縄を楽しめますので、両方からの見方がある芝居なんですよね。そこが良いポイントで、もし沖縄の人だけでやっていたら考えが固まっていたりすると思うんですよ。そうすると沖縄で公演する場合は良くても、東京では受け入れてもらえないんじゃないかな〜と思ったりします。東京の人が見る沖縄、そして沖縄の人が見る沖縄。それぞれを知るのが良いと思っていますし、みなさんにも両方を知っていただきたいですね。

―今年から来年にかけお芝居で忙しい川田さん。最後にメッセージをお願いします。

「民宿チャーチの熱い夜」は子どもからお年寄りまで楽しめる、分かりやすいハートフルコメディー。笑えるだけでなく、笑って泣けるお芝居に仕上げます。劇場でお待ちしていますので、ぜひお越しください。そして僕の中で勝手に決めているのは、来年5月15日に迎える復帰50周年をみんなでお祝いすること。1972年に生まれた復帰っ子の僕は、同年生で発足した「結515(ゆいごーいちごー)」という団体に参加して歴史と文化をつなぐ取り組みや、貧困をなくすための活動を始めています。来年はイベント開催を計画していますので、その時は「ちむどんどん」をはじめとした共演者たちに「お祝いしましょう」と声を掛けたいと思っています。

【インフォメーション】

民宿チャーチの熱い夜製作委員会presents
『民宿チャーチの熱い夜19』沖縄公演

出演:川田広樹(ガレッジセール)、三崎千香、岩上円香、渡辺熱、宮川たま子他

日時:7月23日(金)19:00
7月24日(土)13:00/17:30

※受付開始は開場の40分前、開場は開演の30分前です。

会場:沖縄市民小劇場あしびなー https://koza-ashibina.com/access/
沖縄市中央 2-28-1 旧コリンザ3F/電話:098-934-8487

チケット料金:前売 3,000円/当日  3,500円(税込・日時指定・全席指定)

チケット予約ページ https://www.quartet-online.net/ticket/ch19okinawa


 

【プロフィール】

<ガレッジセール>

1995年 5月結成。渋谷公園通り劇場のボランティアスタッフとして働きながら、コンビ活動をスタートした。
オフィシャルブログ:https://ameblo.jp/haisai-garagesale/ 
オフィシャルInstagram:@garagesale1995

☆川田(かわた)

生年月日:1973年2月1日/身長:177cm/体重65kg/血液型:A型
出身地:沖縄県那覇市
趣味:釣り、バイクでツーリング(ハーレー所持・2017年大型二輪免許取得)、アウトドア
特技:魚料理
Twitter:@kawatahiroki21
YouTube「ヒロキチャンネル」ガレッジセール川田広樹と、札幌出身ヒロキによるお楽しみチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCqpnOeeZwu-yVZG1F7RaeAg/featured

饒波貴子(のは・たかこ)

那覇市出身・在住のフリーライター。学校卒業後OL生活を続けていたが2005年、子どものころから親しんでいた中華芸能関連の記事執筆の依頼を機に、ライターに転身。週刊レキオ編集室勤務などを経て、現在はエンタメ専門ライターを目指し修行中。ライブで見るお笑い・演劇・音楽の楽しさを、多くの人に紹介したい。