広がる子どもたちの「自画撮り」被害 モバプリの知っ得![146]


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今年3月、小学6年の女の子に裸でポーズをとらせて動画を送らせたとして、当時力士だった男が今月7日に逮捕されました。2人はアバター作成アプリで知り合い、男は16歳の少女を装って裸の動画を送らせていました。偽ったプロフィルなどで「良い人である」と相手を信頼させ断りにくくした上で、裸の写真を送らせたり、直接会う約束をして性暴力をしたりすることを、「チャイルドグルーミング」と呼びます。今回の事件は典型的なチャイルドグルーミングです。

子どもたちを「チャイルドグルーミング」から守るために
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-1326791.html

チャイルドグルーミングを行う性犯罪者は、子どもたちの話をよく聞いてよき相談相手を演じたりなど、いい人を装ってあの手この手で子どもたちに近づきます。その上で、子どもたちに「合意の上でやった」と思わせる操作を行うのです。ネットで知り合った人というのは、相手の意図やキャラクターが分かりにくい側面があります。嫌な思いをしたりトラブルがあったことが第三者に伝わりにくいという弊害があります。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

気をつける相手は今回のようにネットで知り合った人だけではありません。例えば恋人や友人、あるいは自分の好きな人から「裸の写真を送って」と要求されて事件になることもあります。お互いの関係が良好な時はまだよくても、後から別れ話になったり仲が悪くなったりすると「あの裸の写真をばらまくぞ」と脅迫の材料にされてしまうのです。これを「リベンジポルノ」と呼びます。スマホの写真が拡散されると完全に削除されたのかどうか確認が難しく、長い期間「また裸の写真がばらまかれないか」と苦しむことになります。

こうした被害が相次いでいることから、アメリカのアップル社は新しい機能としてユーザーのスマホの写真をスキャンして、児童の性被害を防ぐ機能をつけようとしましたが、プライバシー侵害の観点から、反発が相次ぎ、導入の延期を発表しました。テクノロジーを使って児童の動画や写真の流出を防ぐこともすぐには難しいという状況になり、根本的な解決にはまだまだ時間がかかりそうです。

こうした裸の写真を要求された時には「断る! 送らない! 撮らない!」を心がけるべきですが、どうしても断りにくいこともあると思います。その場合は、「児童ポルノ禁止法」という法律を利用し、「18歳未満の裸の写真は持っているだけで犯罪になるので、私が送るとあなたが犯罪者になってしまう」と断りましょう。

今回被害にあった女の子は「誰にも言えず、どうしていいか分からなくてつらかった」と話したそうです。子どもたちが安心してスマホを使うためには、利用のルールだけではなく、相談しあえる関係性を築くことも大切です。性暴力の電話相談窓口は全国共通の短縮ダイヤル「#8891」となっていますので、保護者や先生、警察などの大人に相談しにくい場合はこちらを使ってください。

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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