子どもたちを「チャイルドグルーミング」から守るために -モバプリの知っ得![129]


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

性的な行為を目的に子どもと親しくなる「チャイルドグルーミング」※1という言葉があります。あまり知られていませんが、意味を知っておくだけでも「もしかしてこれはチャイルドグルーミング?」と気付いて被害を未然に防げる可能性があるので、ぜひ友達にも教えてください。特に、SNSなどのインターネットを通じて被害が広がっています。オンラインゲームやSNSでは簡単に「キャラ」設定ができます。「子どもたちの悩みを真剣に聞く大人」になりすまし、信頼を得たところで「裸の写真を送ってほしい」「自分の家に泊まりに来ないか」と誘い出し性犯罪を行う人がいます。

チャイルドグルーミングを行う大人は、子どもたちに優しい言葉をかけたり、悩み相談に乗ったり、SNSのプロフィール設定を偽り「同級生」という設定にして親近感を持たせたりと、いろんなパターンを使って子どもたちに近づきます。最近ではボイスチャット機能のあるオンラインゲームを使い、直接会話を行うというパターンも見受けられます。こうした性犯罪者は、子どもたちにとって「いい人」に感じる行動を取りますが、それは彼らの作戦でしかなく、それらは全て性犯罪を行うための作戦です。「私は嫌ではなかった」と思わせて実行する、つまり犯罪であると被害者に認識させない行為です。非常に悪質ですが、ネット上の至るところで見かけます。また被害者も犯罪だと認識しにくいため、被害が表に出るまでに時間がかかります。

オンラインゲームやSNSは、子どもたちにとって学校以外の人間関係を構築することができて、プラスに働くことも多いです。学校生活でうまくいってなくても、他でつながりを持っていると状況を乗り切れる作用が働くこともあります。一方、チャイルドグルーミングを行う犯罪者と出会い、心と体が深く傷付けられる可能性もあります。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

信頼して話した相談内容を逆手に取られて脅し文句にされることもあります。なので、そういう意味ではネットでの出会いはハイリスク・ハイリターンでもあるのです。なので、子どもたちに対しては、「相手と知り合った時に信頼できそうと思っても個人情報は教えない。慎重な姿勢でやりとりをすること」を伝えることが何よりも大切です。

また個人が特定されないように、年齢をずらしたり、居住設定を別の県にしたりなど、プロフィールにダミー情報を入れることもおすすめします。あとは、未成年のうちはネットで知り合った人と会わないでおきましょう。この先大人になって会うことがあっても、お店とかフードコートとか人の目が入る場所で会ったり、二人きりではなく大人数のオフ会などある程度の人数で会うようにすることも大切です。万が一被害に遭った場合は、性暴力被害のワンストップ支援センター「#8891」※2に電話をかけましょう。

 

※1 チャイルドグルーミング … グルーミングとは、猫などの動物の毛繕いのことで、「手なづける」という意味で使われています。チャイルドグルーミングを行う大人は性的な行為(裸の写真・動画を求める、直接会って身体を触る、触らせるなど)を目的に、子どもたちに優しい言葉をかけて、信頼させます。チャイルドグルーミングに慣れた大人と、ネットを使い始めた何も知らない子どもがやりとりをすると…すぐ被害に遭ってしまいますね。

※2 ワンストップ支援センター … 各地域にそれぞれ性暴力支援センターがありますが、「#8891(はやく、ワンストップ)」に電話をかけると、それぞれの地域の支援センターにつながります。沖縄県は沖縄県性暴力被害者ワンストップ支援センター(with you おきなわ)になります。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」5月23日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/