大宜味村への愛が原動力! 合同会社わーけーまちや


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こだわりの素材で商品開発

役員の5人。(左から)松本安子さん(61)、大山美佐子さん(68)、代表の山城初子さん(77)、新城喜代美さん(58)、山城文子さん(68)=大宜味村根路銘の「合同会社わーけーまちや」(写真撮影時のみマスクを外してもらいました) 写真・村山望

長寿、芭蕉布、シークヮーサー、ぶながや(妖精)の里として知られる大宜味村。豊かな自然や文化を誇る村で、地域の活性化のために活動しているのが「合同会社わーけーまちや」だ。これまで村産のシークヮーサーなどを使い、地元への愛が詰まったこだわりの商品を開発してきた。パワーあふれる女性たちが協力し合いながら、地域に貢献している。

シークヮーサー果汁と砂糖を煮詰めて作った「シークヮーサーみつ」

大宜味村の特産品、シークヮーサーで村おこしをしたい――。そんな思いで商品開発やPR活動を行っている「合同会社わーけーまちや」。「私たちの店」を意味する同社のメンバーは50代~90代の女性15人だ。「役場を退職した人、現役の人、会社を退職した人、主婦など、色とりどりの人が集まり、知恵を出し合いながら活動している」と2010年から代表を務める山城初子さんは話す。

前身は行政の補助金で発足した「大宜味村農山漁村生活研究会」。補助金が打ち切られ廃止になると、会員たちから存続を希望する声が上がり、2007年に民間団体として26人で新たな一歩を踏み出した。

2009年に発売を開始した「シークヮーサーみつ」を皮切りに、地元の中学生が開発した「シークヮーサー酢SKS+S」、大宜味村押川産のシークヮーサーを搾った「押川シークヮーサー」など、さまざまな商品を生み出してきた。健康に良いとされる成分のノビレチンなどで注目されるシークヮーサーを使った商品は、県外からのリピーターからも注文が入るなど好評を得ている。

合同会社へと成長

商売の経験者がいない中、地道な活動で徐々に実績を上げてきた。2014年の7月には初の拠点となる「わーけーまちや」を旧道の駅おおぎみ(現「大宜味村農村活性化センター」)に開店。昨年7月には合同会社を設立した。

店内では手作りの雑貨や、村内の農家で育った新鮮な野菜なども販売

「最初はお金もないからほぼボランティア。皆が団結して一生懸命頑張って取り組んだ結果、ここまで発展した」と初子さん。法人化した今は15人のメンバーが残り、商品の開発や改良、情報発信を続けている。

大宜味村の中学生が開発した「シークヮーサー酢SKS+S」

初子さんは「商品と共にあちこちに行った」と振り返る。県内外のイベントへの出店の他、店頭での試飲販売、旅行会社などと連携し、村産素材を使った弁当や料理を提供し、大宜味村をPRしてきた。

昨年11月には、新商品「丸ごと完熟シークヮーサーたっぴら菓子」と「丸ごと完熟シークヮーサーマーマレード」が完成した。12月~1月頃の短期間しか地元に出回らない黄金色に熟したシークヮーサー果汁と砂糖のみで煮詰めた商品。役員の一人、山城文子さんが中心となり、専門家から加工法や商品化の指導を受け、商品を開発した。原料は松本農園でハウス栽培されている無農薬のシークヮーサーで、メンバーが手作業で一つ一つ実を選別。丁寧に手作りした無添加の期間限定商品だ。

完熟シークヮーサーをつぶした「丸ごと完熟シークヮーサーたっぴら菓子」シロップ煮
完熟シークヮーサーをつぶした「丸ごと完熟シークヮーサーたっぴら菓子」ドライタイプ

体に良い商品づくりを

シークヮーサーの皮を使った「丸ごと完熟シークヮーサーマーマレード」

「農薬を使えば傷もつかずにきれいな実が使えるけれど、私たちは無農薬にこだわっている。(たっぴら菓子用の)選別にもれたシークヮーサーはマーマレードにして無駄なく活用した」と文子さんは話す。今後の課題は完熟した実の長期保存方法の確立で、通年販売を目指したいという。次なる商品開発にも意欲的で、シークヮーサーを使ったグミの商品化を構想中だ。

今後もシークヮーサーを使った商品開発を目指していくという初子さん。「『長寿の里』でもある大宜味村のものだから、健康のためにも良いものを作り、村の活性化につなげることが目的。農家さんを支え、私たちも支えられながら発展していきたい」と意気込みを語った。

(坂本永通子)


合同会社わーけーまちや

沖縄県国頭郡大宜味村根路銘1373
(大宜味村農村活性化センター内)

TEL 0980-44-3131

(2022年3月31日付 週刊レキオ掲載)