「#春から◯◯」の危険性 モバプリの知っ得[172]


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

4月になりました、新生活が始まる人も多いことでしょう。この時期になるとSNSで「#春から○◯大学」※1といった投稿をよく見かけます。入学を前に学校名を明らかにし、同じ学校の人たちと事前にSNSで仲良くなるというやり方です。

コロナ禍で学校行事や交流会なども減っているため、SNSを活用して交流を図る気持ちはすごくわかりますが、自らの学校名や入学のタイミングを明らかにすることの危険性もあります。上智大学(東京)は昨年3月「#春から上智」をきっかけに、ダイレクトメッセージを用いての勧誘活動や性的な画像が送付された事例があったことを明らかにし、注意するよう呼びかけました。

あわせて、今月から成人年齢が18 歳に引き下げられ、18歳・19歳もさまざまな契約を一人でできるようになります。嫌な話ではありますが、悪徳商法を行うような他人を騙す気がある人たちにとっては、ターゲットが広がり「#春から◯◯大学」と投稿している若者に狙いを定める可能性があります。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

また、別の事例だとSNSを使った「グルーミング」が問題になっています。グルーミングとは動物への毛づくろいを意味し、動物との信頼関係を築く意味合いで使われる用語ですが、SNS上では性的目的で子どもたちに近づき、投稿内容から相手を分析して信頼を勝ち取って、断りにくくした上で、裸の画像・動画を要求したり、個人情報を要求したり、会うことを求める行為です。

自分の所属や興味・関心のあるものをSNSでオープンにすると、趣味仲間が増えるなど有益なこともありますがが、グルーミングをやる人からするとそういった情報はあればあるほど相手を手玉に取りやすいのです。SNSで自らの情報をオープンにすることに対して全てを否定できませんが、明かす際は一定のリスクがあることを把握した上で、近づいてくる人に最大限の注意を払ってください。

※1「#春から◯◯大学」…この記号を「#(ハッシュ)」マークと呼び、ハッシュマークの後に単語をつけることをハッシュタグと呼びます。ハッシュタグを使うことで、SNS上で検索しやすくなります。「#◯○大学」と検索すると、大学の先輩たちの投稿、大学側からのお知らせなど情報量が増えてしまうため、「春から」を付け加えて、新入生当事者の投稿に絞れ、交流がしやすくなるということです。

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/