やんばるの“つながり”を味わう、新リキュールが誕生【島ネタCHOSA班】


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

カラキやショウガなど、やんばる産の素材で造るお酒が新発売されたと聞きました。泡盛がベースになってるらしいのですがどんなものなんでしょう? 飲んでみたい! 造られた経緯も知りたいです。

(今帰仁村 うしちかなやー)

カラキ(オキナワニッケイ)は、樹皮や葉にシナモンのような香りのある植物。それとショウガを使ったお酒ですか。 酒じょーぐー調査員としても見逃せない話題です! 早速調査だ!

少し調べてみると、依頼のあった商品は、やんばる酒造(大宜味村田嘉里)が完全受注生産で販売する「やんばるつながリキュール スパイシー・セッション」(以下、つながリキュール)だとわかりました。同社専務の池原文子さんと連絡を取った調査員は、詳しく話を聞こうと大宜味村へ。

カラキ酒をアップデート

商品開発をした皆さん。(左から)リマ・マテウス・セイジ・コヌマさん、池原文子さん、幸野志勇さん、前田新吾さん

やんばる酒造に到着した調査員。池原さんに加え、3人のやんばる在住者が集まっていました。前田新吾さん(カレーとおやつ蒼翠)、リマ・マテウス・セイジ・コヌマさん(リマ・ファーム)、幸野志勇さん(サンシャイン・デザイン)です。

3人はそれぞれ、レシピ監修、材料であるショウガの栽培、商品コンセプトとラベルのデザインという役割で「つながリキュール」の開発に参加。「地元主体でものづくりがしたい」という池原さんに賛同する頼もしい仲間でもあります。

元々やんばるでは、泡盛に樹皮を浸けた「カラキ酒」を親しむ文化があります。やんばる酒造には、カラキ酒を製品化しては? という声がしばしば寄せられていたようです。

しかし、池原さん自身はカラキ酒になじみがありませんでした。せっかく開発するなら「自分たちやこれからの世代に受け入れられる酒にアップデートしたい」と考え、プロジェクトはスタートしたのです。

つながりが原点

やんばるの生産者と消費者をつなげる使命も担っている「やんばるつながリキュール スパイシー・セッション」(左、3850円)。ノンアルでスパイスの風味を楽しめるシロップ(右)とのセットもあります(5500円)

「カラキとショウガの相性はすごく良いんですよ」と話すのは前田さん。レシピ開発は妻の綾乃さんと二人で行い、風味だけでなく舌触りにもこだわりました。島トウガラシやシークヮーサー、その他の厳選したスパイス類も調合し、特徴である「辛み」を作り出しています。

リマさんが育てるショウガは、リキュールの材料として欠かせない存在。大宜味村喜如嘉の畑で無農薬栽培し、肥料も村内で調達しています。手間のかかる栽培方法を貫いてきたので、声がかかったことが「ほんとに誇らしいな」と語ります。

「つながリキュール」やんばる酒造がこれまで造ってきた泡盛とは一線を画すアイデアを多く取り入れています。大量生産を得意とする酒造所と、小規模ながら高品質の商品を作る生産者たち、両者の橋渡しは幸野さんの役割だったようです。また、製品を詰める瓶は卸売業者の倉庫で眠っていたデッドストック品を活用。環境とのつながりを感じてもらうことも商品コンセプトに加えました。

「やんばるの企業としては、地元への還元、地元とのつながりを大事にしたい。だから『つながリキュール』って私たちの原点に戻ってのものづくりなんです。すごい誇りを持ってできる仕事だな、と思います」

商品を手に、池原さんは笑顔で語ってくれました。

「つながリキュール」は、やんばる酒造のホームページから注文可能。また、本日(9日)は同社での販売用に少量の在庫を確保しています。今後は別の生産者とコラボしたフレーバーも発売予定。やんばるのつながりが生み出す新たな味わい、ぜひ一度お試しください。

炭酸水、氷と割れば夏にぴったりのカクテルに。スパイスの辛みが効いていますが飲みやすく「味見のつもりでも、ぐいぐい飲んじゃう(笑)」とリマさん(提供写真)

 やんばる酒造

大宜味村田嘉里417
電話:0980-44-3297

「やんばるつながリキュール」販売ページhttps://takazato-maruta.com/

 

(2022年6月9日 週刊レキオ掲載)