マルチ商法の落とし穴 モバプリの知っ得[199]


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消費者庁は14日、目的を隠して勧誘したとして、マルチ商法を展開している日本アムウェイに対し6ヶ月の業務停止を命じました。マルチ商法とは、商品の購入者を紹介すると数パーセントのお金がもらえ、さらに紹介者が違う人を紹介するとどんどんとお金がもらえます、こうした仕組みを指す言葉です。「友人を紹介すると商品がもらえます」というキャンペーンはよく見かけると思いますが、マルチ商法のポイントは「友人を紹介し、その友人がさらに友人を紹介すると…」と連鎖していくことです。

マルチ商法は「どんどんお金が稼げる」「人生の成功者になれる」と夢を見させてくれますが、実際は友だちを失い、大量に買い込んだ商品が残り逆にお金に困ります。加害者にも、被害者にもなってしまうのが怖いところです。実際、マルチ商法にハマって破産しそうになっている人に「このマルチ商法で借金を返せるよ」と違うマルチ商法を紹介する人もいます。人を搾取(さくしゅ)してお金儲けにする仕組みなので、人間関係もメチャクチャになります。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

現代は、こうしたマルチ商法の勧誘がSNSやマッチングアプリを通じて行われています。楽しそうなパーティーの画像を頻繁に掲載している人からDMが届いて「あなたも始めてみない?」と勧誘されるのです。世界情勢の変化で、お金に対する不安も高まってきています。そうした時に「夢を見させてくれる(でも実際は成功しない)」マルチ商法は活発化します。マルチ商法大手のアムウェイが業務停止命令になったことで「アムウェイよりもこのマルチ商法の方が儲かるよ」と活発化しないか、心配しています。

~ 解説 ~

※ 目的を隠して勧誘したとして … マルチ商法は法律上は合法になっていますが、勧誘の条件がかなり厳しく、勧誘する場合は「マルチ商法にあなたを勧誘するために私は声をかけています」と目的をしっかりと告げた上で勧誘しなければいけません。しかし実際はこうした勧誘のルールが守られておらず(私も過去に何度も勧誘を受けましたがルールが守られたものはありませんでした)、今回の業務停止命令にいたったわけです。

 

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 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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