12月2日(金)ミュージックタウン音市場 加藤登紀子ほろ酔いコンサート


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“心のモヤモヤをひっくり返して、元気になりましょう”

歌手・加藤登紀子さんの歌とお酒を楽しむ「ほろ酔いコンサート」(主催・琉球新報社、ミュージックタウン音市場)が、12月2日(金)に沖縄市のミュージックタウン音市場で開かれます。音楽の街コザで年末の風物詩として親しまれるほろ酔いコンサートも、今年で10回目。加藤さんに、今回のコンサートにかける思い、沖縄への思いを聞きました。

※この記事は、週刊レキオ11月3日付に掲載したインタビューの拡大版です。

―沖縄でのほろ酔いコンサートも10回目ですね。

沖縄では10回目ですが、東京では1971年からスタートしています。今年は沖縄復帰50年とほろ酔いコンサートの50年が一致しているので、『50年』というのをテーマにしたいと思っています。

今年、ウクライナの戦争があって『果てなき大地の上に』という支援アルバムを出しました。その中にジョン・レノンの「イマジン」や、私のオリジナル新曲「果てなき大地の上に」「声をあげて泣いていいですか」が収録されています。ウクライナの支援も今年のテーマになりますね。

コンサートの出だしはできるだけ今までのレパートリーの中から歌い、コンサート前にネットでチケットを買ってくださった方のリクエストに応じて歌うコーナーも作りたいと思っています。

フィナーレは、最初の1回目から一緒にやってきた琉球國祭り太鼓と共に盛大に盛り上げていきたい。

新しく「乾杯!」という曲をほろ酔いコンサートに向けてのスペシャルソングとしてリリースするので、それもフィナーレで歌う予定です。
 

―ほろ酔いコンサートはお酒を飲みながらというのが特徴ですね。

実は、今年も内地では振る舞い酒を控えていて、おみやげ用のお酒にしているんですけど、音市場でだけは振る舞い酒をやっています。

終わった後のアフターパーティーもみんなでやってきたので、すっかり仲良しになっている方々がいっぱいいらして、そういう方たちも盛り上げてくださっています。
 

―沖縄では加藤さんも観客と共に泡盛を飲んで歌われます。どんな気持ちになりますか?

そりゃあ、もういいに決まっているじゃないですか(笑)。お互いの、心のバリアがほどけるというか。それが歌にとっていいんですね。心の中の余計な邪魔者は全部消して、本音で伝わるというか…。
 

―沖縄の観客の印象は?

迫力あるんですよ、全員が…。全員にインタビューしたくなる、みたいな。「みんな物語を持ってる人たちだね」みたいな雰囲気があって、みんなそれぞれ聴き方が深いので。じっくりも聴いてくださるし、ノッたり心が通ったりした時には、すごく強いものが感じられます。
 

―沖縄の観客の前で歌うことは刺激になる?

そうですね。10回やってきて、最初の頃は、よそゆきだったところがあるかもしれないんですけど、沖縄独特の、沖縄ほろ酔いならではの雰囲気になってきましたね。
 

―加藤さんは沖縄との縁が深くていらっしゃいます。

私が沖縄で初めてコンサートに来たのが74年。復帰後にすぐ来ました。それからいろいろな、いっぱいいっぱい出会いがありまして、その出会いの中でほろ酔いコンサートを開かせていただいて。そういうご縁があったということですね。

沖縄に来る前に、「知床旅情」と「西武門哀歌」という、「西武門節」を元にした歌をレコーディングしていたんですね。「西武門哀歌」に出合ったのが、私にとってすごく大きな出来事だった。

なんというか、西武門哀歌を歌った時、すごい発見だった。沖縄の歌を歌った時に、それまで私はどちらかというとロシアの歌とかで育ったんだけど、すっごい気持ちよかったんですよ、沖縄の歌が。それがきっかけで、72年に復帰してできるだけ早く沖縄に来たいということで来て、最初に来た74年に嘉手苅林昌さん、普久原恒勇さん、上原直彦さん…重鎮の方々とお会いすることができて。それから毎年のように会う機会があったんですけどね。読谷の大嶺實清さんのところで焼き物をやらせていただいたり、そういうご縁があちこちにできたんです。
 

―加藤さんから見て沖縄の歌の魅力は?

本当に日々の生活、毎日の生活を支えるために歌う、踊るっていう、そういうものが沖縄には染み付いているんですよね。民謡の世界と近代的な生活とが、日本の内地では途切れちゃってる部分もあって。

だから私も今まで海外で歌うことがあるようになった時に、一番伝わりやすい(のが沖縄の音楽だった)。外の人たちと一体になれるオリジナルな日本の歌というか。アジアの歌であって、決してヨーロッパのものじゃない。アジアの土から、アジアの風から、生まれていて。これは本当に沖縄の人が、海をつなげて世界とつながってきたということが多分関係があると思うんだけど、本当に入りますね、どこの国で歌っても。

そういう地球の歌というか。地球の上から生まれたものを自然にそこから感じ取って歌ってきたものという、大きな、抱きしめられるような力があるので、どんなところで歌っても人の体にまっすぐ入っていくというか。すばらしいと思いますね。
 

―沖縄の観客へのメッセージをお願いします。

年に1回なので、みなさんいろいろな思いがあると思うんです。個人的にもいろいろでしょうし、世の中の動きに不安を感じることもあると思うんですよ。『みんなモヤモヤした気分を全部、風呂敷に包んでもってきて広げてちょうだい』っていう…。みんなでモヤモヤを共有して、泣かなきゃいけないことにはしっかり泣いて、モヤモヤをひっくり返して元気になりましょうというコンサートにしたいですね。

全部服を脱いで、モヤモヤを全部脱ぎ捨てて、一緒に、共に過ごせる時間を大事にしたいと思います。
 

(聞き手・週刊レキオ編集長 日平勝也)

― 加藤登紀子ほろ酔いコンサート ―

日時 12月2日(金)午後7時

会場 ミュージックタウン音市場

入場料 一般5千円(当日券6千円)全席指定 ※未成年者は入場できません

プレイガイド 琉球新報中部支社、同北部支社、ミュージックタウン音市場、デパートリウボウ、ファミリーマート(e+)、沖縄県女性の翼

問い合わせ 琉球新報社広告事業局 電話098(865)5255(平日午前10時~午後5時)

主催 琉球新報社、ミュージックタウン音市場
協賛 オキナワグランメールリゾート
協力 沖縄県女性の翼
後援 沖縄市、沖縄テレビ放送、ラジオ沖縄、エフエム沖縄