キャッシュレス決済を乗っ取る手口 モバプリの知っ得[206]


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先月30日、キャッシュレス決済サービスのペイペイ(PayPay)が「SNSなどでペイペイのアカウント情報をだまし取ろうとする手口が報告されています」と注意喚起の文書を出しました。その手口とは、SNSなどでアルバイトの勧誘を行い、「アルバイトの報酬受け取りのために必要である」とうそをついて、ペイペイ残高を送らせたり、ログインに必要な情報をだまし取ろうとしたりするものです。

ペイペイは以前から悪用の手口に注意するよう呼びかけています。手口を一つ一つ確認すると、細かく変えながら私たちの情報を狙っているのが分かります。

こうしたキャッシュレス決済は非常に便利なサービスで、手軽に友達に送金したり、送ってもらったり、お金の使い方も変わるのかなと思います。これからますます身近なものになるでしょう。

その反面、悪用されると非常に厄介です。便利であるということは、使い方を少し間違うとなにかの被害に遭いやすいということでもあります。こういう形で万一乗っ取られてしまうと、その中に入っているお金が盗まれるおそれはもちろん、乗っ取られたアカウントから友達にお金を送ってほしいというメッセージが送られ、友達がそれを信じて送金してしまう。乗っ取られた場合、被害に遭うのは自分だけではなく友達も巻き込まれてしまう可能性があるということです。

12月に入ってからも、いろいろな食料品の物価が上昇しますとか、電気料金が上がりますとか、お金に関して不安になるニュースが増えています。そういうふうに人々の不安が高まったり、どうにかしないといけないという焦りが強まってきたりすると、だまそうとする人はそれを逆手にとって、お金もうけにつなげる新しい方法を考え出してきます。それで、何か投資を勧めてお金を持ち逃げするといった動きが残念ながら出てきてしまいます。

今回もアルバイトの勧誘があったり、「私があなたにお金を送るのでこの情報を教えて」といった形で個人情報を聞き出したり、その中で免許証の写真を撮って送ってくださいといわれる場合があります。それで免許証の写真を送ってしまったがゆえに、脅迫されて、そこから要求がどんどんエスカレートしていく事例もすごくたくさんあります。

これらも私たちのお金に対する不安に入り込み、最後は「詐欺行為に誘導する」というパターンで、これまで何度も何度も繰り返されています。人は不安が高まったり余裕がなくなると、自暴自棄になったり、冷静に判断ができなくなることがあります。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

この辺でちょっと怖いのが、オンラインの手続きで免許証の写真を撮って送ってくださいというのが実際にあるんですね。ひと昔前なら絶対、そういう写真は撮って送らないでくださいと言ってきていたんですが、時代が変わって本当にそれを求めて来る場面があります。なのでこの辺の判断は本当に難しい。なりすましてくることもあります。

ただ、悪い人たちは手口を変えて、その時その時でタイムリーな方法を使ってくるので、こういうペイペイからの注意喚起であるとか、銀行からの注意喚起であるとか、そういったものはアンテナを張って見ていて、たとえ自分はその瞬間は使っていなくても、どういう手口でやってくるんだろうというのを見ておくと、あとから似たような事例に遭遇したときにちょっとしたブレーキが働くので、その辺は常にアンテナを張り巡らせておいて備えておくことが必要だと思います。

~ 解説 ~

※ ペイペイは以前から悪用の手口に注意する呼びかけ … こちら(https://paypay.ne.jp/help/c0176/ )のページを読むと、様々な方法で私たちを「だまそう」としているのが分かります。ワクチンと同じく、手口やパターンをあらかじめ知っておけば、自分にそうしたメッセージが届くと警戒できるようになるかもしれません。

※ 普段からの対策 … 決済サービスに限らず、ログイン用のパスワードを使いまわししない、第三者に伝えないなどが重要です。

 

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 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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