森を開拓して造った屋外サウナ!?【島ネタCHOSA班】


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

本部の山奥に最近サウナ施設ができたらしいのですが、なぜ、誰が造ったのでしょうか。気になるので調査お願いします

(北中城村 浜のやどかり)

本部の山奥にあるサウナ施設ですか。調べてみると「亜熱帯サウナ&ジャングルフォトランド」と判明。さっそく調査員は施設のある本部町へ向かいました。

危機を乗り越えて

調査員を迎え入れてくれたのはオーナーの坂本哲治さん(46)。坂本さんは、本部町内にあるカフェ「亜熱帯茶屋」のオーナーも兼任しています。

「亜熱帯サウナ&ジャングルフォトランド」を造ったのは2021年。コロナ禍でカフェの客足が激減したことがきっかけだったといいます。

伐採時に出た木材を再利用して作った巨大なオブジェ

「カフェが大危機に陥り、公庫が通常よりも傷ついている経営者に融資をしてくれたんです。お店を守るために手を付けずに置いていたんですけど、このお金をずっと持っていても仕方がない。攻めることで守っていこうと投資を決意しました」と坂本さんは語ります。

そこで思いついたのが、20代の頃にタイのサムイ島で見た、山一つを使ったスパでした。

「日本でも、あのタイのスパのように山の中にあるサウナを造りたい! その夢を沖縄で実現させよう、と。造園や左官業、土木・建築業の経験を生かして、ジャングルをテーマにしたサウナを造りたいと思ったんです」

21年の11月から山を契約し、森の開拓作業を開始。鬱蒼(うっそう)とした木々は光が入るように切り開き、雨が降ると何日もぬかるんでしまう地面には水はけをよくするために砂利を敷きました。およそ3カ月かけて森を開拓。サウナに先がけて22年の3月にジャングルフォトランドを完成させました。

ジャングルフォトランドは、森を伐採する過程で出た木材を再利用して作ったオブジェや遊具などが並ぶ公園エリア。巨大な鳥の巣のようなオブジェやハンモック、沢辺のブランコなど、自然豊かなフォトスポットです。

20代の頃の夢を実現

そして昨年12月に亜熱帯サウナをオープン。水着、タオル、サンダル持参で入れるサウナで、県内では珍しい外気浴のあるサウナです。

「サウナって水風呂と交互に入る人が多いんですが、サウナで一番気持ちいいのが外気浴なんです。汗かいて水風呂で体を冷やした後、外気浴で休憩することで、冷えて凝縮された血管が常温に戻ってくる、その時間帯が気持ちいいんです。ここでは開放感のある森の中での外気浴を重視しています」

外気浴用のスペース。日除けもあり夏場でも涼しい

亜熱帯サウナではフィンランドから取り寄せた「HARVIA(ハルビア)」という薪(まき)ストーブを使用。200キロのサウナストーンにロウリュ(ストーブ上で暖められたサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させること)することで熱波を発生させ、室温を一気に10~20度上げることができるといいます。

サウナ室には30分ごとにスタッフが巡回し、薪を入れて火を調節。その際、ロウリュや「アウフグース」と呼ばれる、うちわなどで熱波を当てるサービスも行っています。

「炎のゆらめきとか、薪が燃えるパチパチっという音とか、そういった演出も大事にしています。『どこか遠くに来たなあ』と思えるように。自然の中で癒やされてほしい」と坂本さんは語ります。

サウナ小屋の中。左にあるのがフィンランドから取り寄せた薪ストーブ「HARVIA」

亜熱帯サウナは公式ホームページは無く、ガイドブックにも載っていないため、亜熱帯サウナやジャングルフォトランドに来た県民の口コミやSNSを通じて少しずつ人気が拡大しているのだそう。

コロナ禍の大危機を乗り越え、20代の頃に描いていた夢を実現した坂本さん。「今後はサウナ以外にマッサージやヨガ、ダンススタジオなんかもできたらいいなと思います」と抱負を話してくれました。

北部の山奥にあるサウナは、大危機を乗り越えたカフェのオーナーが手掛けた情熱あふれる施設でした。


亜熱帯サウナ&ジャングルフォトランド

国頭郡本部町伊豆味2599

亜熱帯サウナ(要予約)

TEL 050-8885-0691

時間:①11:00~13:00 ②13:30~15:30 ③16:00~18:00 ④18:30~20:30

料金:平日2200円 土日2750円

ジャングルフォトランド

時間:10:00~夕暮れ時

料金:大人500円 子ども300円

(2023年5月25日 週刊レキオ掲載)