海への感謝をちょっとずつ しかたにさんちの自然暮らし(14)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

明けましておめでとうございます。みなさまのお正月はいかがでしたか?

人へのご挨拶が年賀状で、神様へのご挨拶が初詣なら、海で活動している私たちは、海にも感謝のご挨拶をしたい!というわけで、毎年のお正月、我が家はビーチを散歩がてらのごみ拾い。今年は1月2日、百名ビーチに行きました。

ここは南向きで、冬はごみの漂着が少ない浜です。沖縄でごみがたくさん漂着する北や西向きの浜では、1人や2人のごみ拾いではとても追いつきません。そういうときは、グループを作ってみんなで拾った方が、作業も気持ちも楽にできそう。

ごみ拾いはあまり気負わずに、みんながそれぞれ、自分の近所や好きな場所を少しずつきれいにすれば良いと思うんです。私は、沖縄本島の海岸をいろいろと回って、百名ビーチの広々とした景色と、海の色が大好きになりました。それで、お正月はいつも海への感謝を込めて、ここに来ます。

お散歩がてらのごみ拾い。
浜を1往復、きれいになりました。

この日は真っ青で素晴らしい空。穏やかな水面が、時折バシャバシャっと跳ねて、魚たちが群れているよう。冬なのに日焼けしそうな日差しを浴びて、砂浜をさくさく歩くこと1kmちょっと。2人でそれぞれ、大きいごみ袋に1杯ずつ拾いました。

やりながら気づいたのは、太陽を背にして拾うよりも、逆光の中を歩いて行った方が、プラスチックやガラスのかけらが光って見えて拾いやすい! 時折振り返って、きれいになった浜を眺めるのは気持ちの良いものですね。これは私たちにとっては「清掃活動」ではなく、お正月の楽しみの一つになりました。

今年のうみまーるカレンダー、全て月齢入り。

さて、毎年の楽しみをもう一つご紹介。友人の水中カメラマンが、とびきり素敵な海の写真のカレンダーを送ってくれます。

撮影は、井上慎也さんと高松明日香さんのお二人で、ユニット名は「うみまーる」(http://www.umima-ru.com)。座間味島在住で、県内だけでなく世界中の海をカメラに収めています。

彼らの写真は、とにかく生き物たちへの目線の優しさがピカイチ。そして、水中の明るい光や水の透明感が素晴らしい。眺めているだけで、肌に水の心地よさを感じ、波音が聞こえるような気分になります。

スキューバダイビングでの水中撮影時、体を安定させるために岩やサンゴをつかんでしまうダイバーも多いのですが、サンゴはもちろん、岩の上にも微細な生き物たちが住んでいます。生き物を傷つけたり怖がらせたくない!との思いから、このお二人は水中で体をピタッと静止して撮影する、すごいテクニックを身につけ、ダイバーにそうした技術を広める活動もされています。

海にやさしい水中写真術の本「Let’s Dive!」

とことん海が大好きで、優しさ溢れるお二人なんです。海好きな方へのちょっとしたプレゼントに、彼らの写真集やカレンダーを使うのもお薦めですよ。

日々の暮らしの中で、海の写真にちょこっと癒され、ちょこっと海に良いことしようと思う。そんな人が増えることを願いつつ、今年もよろしくお願いします。とりあえず、ビーチにお散歩に行くときは、ポケットに小さなごみ袋一つ、ですね。

鹿谷麻夕(しかたに自然案内)

しかたに・まゆ 東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京で生まれ育ち、20代半ばで文系から理系に転向、沖縄に来てサンゴ礁を学ぶ。その後、しかたに自然案内を主宰し、県内で海の環境教育を行う。本と音楽と野良猫を好む。