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やりたいこと、たくさん 100cmの視界から―あまはいくまはい―(16)


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 もうすぐバレンタイン。子どもの頃からお菓子作りが大好きだった私は、当日に向け試作しまくるのが恒例でした! 本命ではなく、友チョコです! 味がよくて、見た目もよくて、そんなに手間もかからず、常温でも大丈夫で、ラッピングしやすいもの。ガトーショコラ、トリュフチョコ、スイートポテト、クッキー、マフィンなど、ありとあらゆるものに挑戦しました。

 当時、今から25年前は100円ショップはなかったので、那覇市泊にあった製菓材料店に足しげく通いました。今ではどこにでもオシャレで手頃なお菓子のラッピング素材がありますが、当時はそこでしか手に入らないものばかりでした。お財布と相談しながら、材料選びには必死でした。レシピの3倍の分量を作りたい時は、バターも3倍、砂糖も3倍と計算し、それも楽しかったです。

 しかし骨の弱い私にとって、冬は骨折をしやすい季節なのです。体が冷えると体が硬くなりますが、筋肉もほとんどない私は、この寒さが大きなけがにつながるのです。せっかく計画、準備をしても、諦めざるを得ない時も! 悔しかったのですが、それも私にとっては日常茶飯事。計画を立て直し、2週間したら痛みは治まるからこれならできる、動けない代わりに今年はこうしよう、とまた予定を立て直して楽しみました。

 骨折、入院を繰り返したおかげで、どんな状況でも楽しむことが得意になった私。入院中は、本だけでなく、人形や、折り紙、手品セットなど、ベッドの上でできることをいろいろ楽しみました。時間はたくさんあるので、モノづくりにはぴったり!また家族や友だちがお見舞いに来てくれるのがうれしくて、お土産を楽しみにしていました。親にはファストフードのチキンやポテトを頼んでいました(笑)。

姉妹で北部にタンカン狩り。家族であちこち出掛けました

 また、私は姉が2人おり、2人とも障害が無いのですが、それぞれにうまくいかないこともあるようで、私は歩くことにそこまで魅力を感じなかったのです。歩けても、歩けなくても、いいところ、悪いところは同じ数だけあると思っていたのです。うらやましく思ったところで、私は歩けるようになるわけでないので、考えないようにしていた面もあるのかもしれませんが。歩きたいという思うよりも、お菓子作りや折り紙をはじめ、やりたいことがたくさんあり、それをどうやったらできるかを考えることで頭がいっぱいでした。インターネットもない時代だったので、お店に電話したり、まわりの人に聞いたりと、とにかく情報集め、自分ができること、やりたいことに次々と挑戦する子どもでした。

(次回は2月5日に掲載します)

伊是名夏子

 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2018 年1月22日 琉球新報掲載)