苦手なことに向き合う 100cmの視界から―あまはいくまはい―(27)

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今月に入り、39度近くの熱を5日間出し続けた私。息子が転園したり、私の仕事も忙しかったり、疲れがたまり過ぎたようです。高熱のせいで全身が痛過ぎて眠れず、ちゅーあたい(とてもきつかった)でした。私は疲れたり、しんどくなったりした時「家に帰りたい」と強く思ってしまいます。発熱中も「家に帰りたい、家に帰りたい」と切望していました。

そんな自分が不思議だったのですが、ある時「体がつらいと、病院に入院していた時のことを思い出してしまう」と気付きました。私は子どもの頃、何度も大きな手術をし、痛みに耐えながら入院生活を送り「早く家に帰りたい」と懇願していました。あの時の気持ちが30年以上たった今でも、無意識に思い出されるのです。

また私はガラスのテーブルが苦手で、それを見ると寒々しくなり、落ち着かない気持ちになってしまいます。それはレントゲン台を思い出してしまうということに気付きました。白い明りが強い部屋に入ると一気に疲れ「その場を離れたい」と思ってしまうのですが、それも入院中の病室を思い出すからなのです。


子どもの頃、入院中は家族や友だちなど、いつもたくさんの人がお見舞いに来てくれました

わが家ではガラス製品はほとんど使わず、電球も暖色系にしています。しかし一歩外に出ると、どうしてもそれに対面する時があります。カフェでお茶をしようとしたらガラスのテーブルだったり、電車の照明が強い白系だったり。嫌な気持ちになり、どっと疲れてしまうので「今の状況はあの時と全く違うもの。そしてなるべく早くここから出るから大丈夫」と心で唱えています。

居るだけでなぜか疲れてしまう場所、見ると嫌な気持ちがしてしまうもの、ちむわさわさーするくらい苦手な人。自分でも理由が分からないけど、なぜか嫌ってしまうことはありませんか?それはもしかしたら過去の体験から来るものかもしれません。強烈な体験があると、大きな傷痕が残ります。それを思い出すことはつらいし、思い出すことでパニックになってしまうこともあるでしょう。でも苦手な原因が分かれば、対処法を見つけることができるかもしれません。そして苦手だったことにチャレンジしやすくなるでしょう。

私も入院中の体験を理解し、口に出して表現して対処できるようになったのは、大人になってからです。気付いたおかげで「苦手なものは避けていい」と思えるようになったし、苦手な場面になっても自分を冷静に見ることができるようになりました。

苦手なこと、つらいことがある自分を責めずに、上手に付き合っていきたいですね。



(次回は7月10日に掲載します)


伊是名夏子

 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2018 年6月26日 琉球新報掲載)

 



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