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車いす、だからおしゃれを 100cmの視界から―あまはいくまはい―(28)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ファッション雑誌に出てくるレディースの洋服の数々。憧れるのですが、身長100センチの私には大きすぎて着られません。しかも写真のモデルは立っている人ばかりなので、座ったままの私には服のラインが写真とは全く違うものになってしまいます。あまりにも自分がモデルと違うのでおしゃれを諦めてしまったり、服を買うこと自体が面倒くさくなることもあります。

 でも服は何かしら着ないといけません。しかも、なるべくおしゃれなものを着たいので、センスのいい友だちに相談して、アドバイスをもらうこともよくあります。

子どもと一緒だと、毎日パタパタで、おしゃれをしたいと思いつつ、手を抜きがちです

 私は体形が特殊なので、実際に着てみないと自分の体形に合うかわかりません。上着はバストが入りづらいことがあるので130センチ、ズボンは110センチ。車いすに座るとスカートの丈が短く見えるので、スカートは140センチ、ワンピースは120センチを着ることが多く、選ぶのに時間がかかります。お気に入りのメーカーがあると、試着しなくてもある程度のサイズが予想できるので便利です。時には大きいサイズの服を買って、袖や丈を詰めてリメークしたり、シャツをチュニックとして着たりもします。

 洋服以外で簡単にできるおしゃれが、ネイルやアクセサリー! 「車いすの私がおしゃれしても、かわいい人や、スタイルがいい人にはかなわない」とネガティブに考えて、気を抜いている時もありました。でもネイルひとつで、まわりの私への対応が変わってくるのです! 特に初対面の人は、車いすの私にどう話しかけていいか戸惑うこともあるようなのですが、ネイルをしていると「ネイルがかわいいですね」と相手から声を掛けてくれることがあります。ネイルがきれいに塗れているかはあまり関係なく、目立つ色が会話のきっかけになりやすいです。また帽子やヘアアクセサリー、ピアスも目を引くので、会話の切り口になり、コミュニケーションにつながります。

 「車いすだからおしゃれをしても仕方ない」ではなく、「車いすだからこそおしゃれする」。人は見た目が全てではないですが、車いすを使っているので、見た目のインパクトがどうしても強いです。おしゃれをすることで、車いす以外の自分をアピールしやすくなります。自分に自信がない人も、使える手段かもしれませんよ。

 私はその人にしかない魅力を褒める「チャーミング」という言葉が大好き! 車いすに乗っている自分を魅力に変え、おしゃれを楽しみながら、新しい出会いを大切にしたいです。

(次回は24日に掲載します)

伊是名夏子

 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2018 年7月10日 琉球新報掲載)