ハブの美に魅せられた男…1蛇1蛇の個性を生かした革製品に挑む

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1匹1匹の個性を生かす yu-i FACTORY

沖縄では古来より人々に知られ、畏(おそ)れの対象でもある生き物、ハブ。この毒ヘビの美に魅せられた人がいる。yu-i FACTORY(ユーイ・ファクトリー)の代表、幸地賢尚さんだ。十数年前からハブ革の製品化に取り組み、意欲的に商品開発を続けている。幸地さんの持つハブ革へのこだわりや製品デザインのバックグラウンドを聞いた。




ハブ革を使用したブランド「yu-i FACTORY(ユーイファクトリー)」の製品     写真・村山 望

南風原町新川のyu–i FACTORYは、ハブ革の仕入れから加工、製造販売までを行う沖縄県初の施設だ。緑に囲まれた場所にあるショップ兼工房を訪れた。

ハブ革がぜいたくにあしらわれた財布、ゴールドやシルバーの素材とハブ柄が上品に合わさったアクセサリー…。

yu–i FACTORYのショップに並ぶ製品には一つとして同じものはない。同じ型のデザインであっても、使用されるハブ革によってその雰囲気、表情が変わるからだ。幸地さんも、ハブ一匹一匹の持つ柄の個性に魅力を感じたことが、ブランド設立のきっかけだったという。


仕入れから加工まで


現在yu–i FACTORYのハブ仕入れ先は、県内5カ所の市町村だ。各自治体と提携し、行政の指導の下で駆除されたハブを冷凍保管ののち、購入している。乱獲を防ぐため、個人事業者からの買い付けは行っていない。提供されたハブも、傷がついていたり、模様がはっきりとしていないものは商品には使えないため、実際の革製品として加工できる本数は多くない。幸地さんは「限りあるハブを生かし、デッドストック(売れ残り品)を生まない」製品作りを心がけている。

各市町村から仕入れるハブは、冷凍された状態でyu–i FACTORYに輸送し、解凍後に革製品にするための鞣(なめ)し作業をほどこす。この工程を行うことができるのは代表の幸地さんだけだ。

本格的に製品が作れるようになったのは、11年前に東京の産業技術研究センターで、革製品としての基準をクリアしてから。身につける道具として、信頼できる強度を持った加工方法を確立するまでにはかなりの試行錯誤があったという。だが、その経緯を語る幸地さんの表情はとても生き生きしている。好きなものを作り続けている、というわくわく感が伝わってきた。


製品に使用される前のハブ革。(左から)沖縄本島南部、北部、久米島と産地によって模様が異なる。作成する商品に合わせて、どの革を使うのか、その都度選択する

ハブ革と牛革の用いられたハンドバッグを作成する様子。全ての 工程を5人のスタッフで行っている


ストーリーを持つ製品


腕時計「Uwatchna-(ウォッチナー)」

2017年の沖縄県商工会特産品コンテストで最優秀賞に選ばれた腕時計 「Uwatchna–(ウォッチナー)」は、文字盤やベルト部分に大胆にハブ革を使用した商品だ。時計の機械部分は、国産メーカーのものを契約し使用しているが、試作品は幸地さん自身が作ったのだとか。

「自分で時計を買って、一度バラし、文字盤にハブ革を貼り付けて動くかテストしたんですよ。実際に見本を作ってテストすれば、時計メーカーさんの信頼も得られますからね」


yu-i FACTORY代表、幸地賢尚さん。背後にあるのは、190㌢超えだったという大ハブの革

自らが作りたい、と思ったものをどんどん形にしていく幸地さんの探究心には驚かされるばかりだ。そしてどの商品にも、幸地さんによるこだわりのストーリーがある。海外のロック音楽や、SF映画の世界観もデザインのイメージに反映させており、さまざまな文化を製品の中に取り入れていることがうかがえる。

デザインやハブ革以外の素材にもこだわりがあふれた製品は、性別問わず幅広い年齢層に愛用者がいる。限りある資源を大事に扱い、流行に左右されないデザインを行っているyu–i FACTORYの姿勢に共鳴する人が増えているのだろう。今後も注目度の高いローカルブランドだ。



(津波典泰)




yu-i FACTORY
〒901-1105
南風原町新川583
[電話]098(888)0126



(2018年7月19日付 週刊レキオ掲載)




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