広がってしまったLINEデマ。冷静に判断し誤情報を甘く見ない モバプリの知っ得![64]


この記事を書いた人 稲嶺 盛裕

7月に入りLINEに関する間違った認識の情報が、SNSやメッセージアプリなどで拡散されました。

文章は、出回ったルートによって内容が若干変わっておりますが、概ね以下の通り。

“【情報共有】
今年行われたアップデートにより、LINEでの会話の内容をLINE社が自由に利用することに合意する項目が追加され、何も設定しない場合、その項目はオンになっています。

簡単に言うと、LINEの会話や写真を韓国の会社が自由に見れる状態です。

友達画面の左上の歯車を押すと設定画面が開きます。

「設定」画面の中の「プライバシー管理」を開きます。

「プライバシー管理」画面の下の方にある「情報の提供」を開きます。

「トークルーム情報」という項目があり、何も設定していなければ「オン」になっているので、これを「オフ」にしてください。”

でも、本当のところは…?

多くの人たちが使ってるLINE。人には絶対見られたくない、デリケートなやりとりも残っているかもしれません。
そうした内容を会社側が自由に見ているとしたら…気持ち悪さを覚え、友人に一刻でも早く伝えたくなる感情も分かります。

実際のところはどうなのでしょう。出回った文章に記載されている「トークルーム情報」をオンにすると、このような画面が出てきます。

少し分かりにくい説明かもしれませんが、まとめると「お客様のLINEの情報を利用します。ただし、友だちとのテキストや画像、動画は含みません」とのこと。

確かに、私たちユーザーの情報の一部を利用するとは言っているものの、出回った文章に書かれているような「LINEでの会話の内容をLINE社が自由に利用することに合意する項目が追加され」はLINE側も赤文字で否定しています。

つまり出回った文章は正しくない情報、デマということになります。

LINE側はアップデートが行われた1月に、ブログにて説明を行なっています。
また、LINEアプリ内でも該当する画面を開くと先ほどの画像と同じ注意画面に切り替わります。

今回広がったデマは、冷静になって調べれば5分ほどで確認が取れる状態でした。
おそらくほとんどの人は「嘘か本当か分からないけど、用心するに越したことはないから」という気持ちで広めたのかもしれません。
そのため「なんだデマだったのか。良かったね」で終わる人も出てくるでしょう。

しかし、デマを甘く見てはいけません。

デマが広がることで、LINE社は不必要な対応に終われることになりますし、今回のデマもまた差別の材料に使われたのでした。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

残念なほど相性のいい「差別」と「デマ」

今回出回った文章には「LINEの会話や写真を韓国の会社が自由に見れる状態です」と、企業の国名が付属していました。

LINEは韓国企業のNAVERが100%出資して作ったことは間違っていないのですが、国の情報が入ることで「韓国企業は危険だ」「韓国という国は怖い」と“韓国叩き”が始まりました。

こうしたデマの中に「外国・外国人差別」が入ることは、もはや定番と言ってもいいでしょう。

今回のデマの類似例として、昨年秋に沖縄で広がった「乾燥海産物デマ」があります。

“先程、教育委員会から来た情報です。
なるべく多くの方に教えてください。
警察署に通う方から来たメールです。
必ず読んで下さい‼
知らない人が路上で接近して来て、乾燥海産物をおすすめして、販売しようとしながら、一回味見をしてとか、臭いを嗅いでとか言われたら、絶対絶対しないでください。
海産物ではなく(エチルエーテル)1種類の
麻酔薬で、臭いを嗅いだら意識を失う。
中国から来た新しい犯罪である。
周囲へ広く知らせて下さい。実際、事件発生、臓器売買してるそうです。特に、友達や親戚に是非伝えて下さい。
周辺の知人達に、巻き込まれないように周りの方に伝えて下さい。
用心するに越したことはないので皆さん気をつけてください‼ ”

「路上で乾燥海産物を〜」 広がるデマ、広げてはいけない理由 モバプリの知っ得![30]
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-608321.html

この出回った文章もデマだったわけですが、中には今回と同じく「中国から来た」という言葉が入っており、「中国=野蛮」という偏見を植え付けることになるのでした。

「用心するに越したことないから」と深く考えずに、差別を助長するデマを拡散する行為は、日本に住む外国籍・外国にルーツを持つ人を不安にさせます。
自分たちが安心したいためデマを拡散させ、他の人を不安に陥れたり、危険な目にあわせることは許してはいけません。

これからもSNSやメッセージアプリを介して、様々なデマが拡散されると思います。
出どころが不確かな文章を見かけてもすぐには拡散せず、一呼吸置いて冷静に判断し、しっかりと見定めることが必要です。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」7月22日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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