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車いす旅行の一工夫 100cmの視界から―あまはいくまはい―(33)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

前々回に引き続きミャンマー旅行の話です。実は旅行の準備段階でいくつか問題がありました。私がいつも使っている電動車いすは重さが80キログラム。段差を持ち上げるのが大変なので、バリアフリーが整っていない国では使えません。手動車いすで行くことにしたのですが、自分で動けないので、夫が私の車いすを押します。そうすると子ども2人の手を引く人がいないのです。現地の友だちに相談し、友だちの家のシッターさんについてもらうことにしました。

友だち家族とシュエターリャウン寝仏を見に行きました

最近では、ダイビングやゴルフを楽しむ観光客のために、インターネットでシッター手配ができる国もあります。ただ全く知らない人だと当たり外れがあるので、私は現地の知り合いに「一緒にお出掛けを手伝ってくれる人を探してほしい」とお願いします。留学中の日本人や、子どもが好きな現地の人に声をかけてもらいます。「車いすのヘルパー募集」と言うと「障害者のお手伝いはやったことがないので不安」と懸念されがちなのですが、「5歳と3歳の子どもの手を引いたり、抱っこをお願いしたい」と言うと見つかりやすいです。初対面の人が想像しやすいように、具体的に要望を伝えるのがポイント。シッターさんには、子どもの世話の他にも、車いすを押してもらったり、私の抱っこもお願いし、いつのまにかすばらしいヘルパーさんになっています、笑。旅行中、疲れてイライラしても、家族以外の人がいると心に余裕ができるのでありがたいです。

ミャンマーでは障害者や高齢者は家に居るだけのことが多いと、友だちから聞きました。車いすの私は珍しがられ、道行く人に写真を撮られまくり! みんなの視線を集め、有名人のようでした、笑。

ミャンマーの障害者について知りたかったのですが、なかなか見かけなく残念、と思っていたら、障害者が作った作品の雑貨屋さんを発見!ポーチやカードなど、どれもかわいくて、支援したい気持ちもあり、たくさん購入してしまいました。店員さんは耳が聞こえない方で、電卓で値段を教えてくれ、スムーズな対応でした。こういう場所が増えることを願わずにはいられません。

どうなるか不安だった車いすと幼児2人を連れてのミャンマー旅行も、たくさんの人のサポートのおかげで楽しめました。子どもたちが大きくなって、私を抱っこしてくれるようになったら、アフリカや南アメリカも行ってみたいです。ちょっとの工夫と、助けがあれば、車いすでもあまはいくまはいです!

(次回は10月16日に掲載します)

伊是名夏子

いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2018 年9月25日 琉球新報掲載)