史上最強のシロウト軍団が全国へ! 沖縄ロックシーンを賑わすP-famの魅力


社会
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左からともくん、レン様、りょーちん、しょーやおぢさん。4人が生まれ育った読谷村にて。

エンタメ系”P-POP”バンド「P-fam(ピーファム)」。彼らのことを以前のインタビューで「史上最強のシロウト軍団」(https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-498077.html)と紹介させてもらったが、そこから彼らは着実に実力を付け、名実ともに沖縄の音楽シーンを代表するバンドへと進化し続けている。

毎年活動を重ねるごとに、自らの立てた夢を叶えていく彼ら。昨年11月には二度目となる県内最大規模のライブハウス「ミュージックタウン音市場」でのワンマンライブを成功させ、GReeeeN等の所属事務所である「High Speed Boyz inc.」に所属することが決まった。どんなに「無謀だ」と言われても困難を恐れることなく前だけを見て突き進む4人に、第二章へと入ったP-famの今後の展望と自主時代の振り返りを聞いた。

(聞き手・野添侑麻 琉球新報Style編集部)

県内最大規模の会場で2年連続ワンマンライブ!

‐前回の取材が約2年前の2017年。県内最大規模のライブハウス、ミュージックタウン音市場で、自身初めてのワンマンライブに挑む直前のこと。音市場でのライブは沖縄で自主活動するインディーズバンドとして初めての試みでしたね。その後、昨年11月には2度目となる音市場でのワンマンを大成功させました。おめでとうございます!

一同:ありがとうございます!

りょーちん:2017年に初めて音市場でのワンマンライブに挑戦するって発表した時は、本当にたくさんの人から「自主活動しているバンドが、音市場でワンマンなんて無理だよ!」って言われたんですけど、どうにか成功することができました。でも昨年、また音市場でライブをやると発表したら、そういうマイナスな声が一切出なかったのは、個人的に嬉しかったですね。

‐2017年に行った初めての音市場ワンマンでは、「沖縄のバンド史上、誰もやったことのない挑戦」という意味合いが大きかったと思うのですが、その成功を経て今やP-famは音市場でライブをやって当たり前のバンドに成長したという周囲の評価に変わった印象を受けます。

レン様:だからこそ、失敗できないっていうプレッシャーはすごかったです。

ともくん:レンの言う通り、今回は本当にプレッシャーが大きかった。というのも、初めての時は誰もやったことがなかったことに挑戦するということで注目も浴びて、周りも一丸となって応援してくれました。なおかつ、CDをリリースしたり、毎週ストリートライブを重ねたり、バンドが成長した年だったから自信と勢いもあったんです。でも去年は、2回目のワンマンライブをやるということ以外に大きな動きもなくて、お客さんも来てくれるか不安だったんですけど、結果的には初回を超えるたくさんのお客さんが来てくれました。本当に嬉しかったですね…。

‐他のメンバーも、同じように不安な気持ちだったんですか?

しょーやおぢさん:正直、初回の動員を超えられないんじゃないかっていう不安が大きくて、集客のことで頭がいっぱいで何も手がつかない状態でした(笑)。

レン様:本番直前まで不安すぎて、どんな顔してステージに出ていけばいいかわからなかった(笑)。

りょーちん:でも、「例えお客さんが少なくても、来ている人たち全員楽しませよう!」って円陣を組んで、ステージに出ていったら目の前にはフロアいっぱいのお客さんがいる景色が飛び込んできました。 あれは泣きそうになりました(笑)。

ようやくライバルと同じ土台に

‐初回より、動員が大幅に増えた要因は何だったと思いますか?

りょーちん:それは人との触れあいを大事にしてきたからじゃないかなと思います。P-famはどんなイベントやライブにも出演するようにしていて、ライブハウスはもちろん、高校生企画のイベントや、地域のお祭りなど誘っていただいたものには二つ返事で出演させてもらっています。その場で大切にしていることは、共演者やお客さんと触れ合うこと。ライブするたびにいっぱい友達ができたことが要因じゃないかなと(笑)。去年は県内の高校に楽器を教えにいく機会も多かったんです。そういう活動がつながったのかなと思いますね。

ともくん:高校生の親御さんたちもライブに遊びにきてくれたよね。「あの時はウチの子がお世話になりました~!」ってたくさんのママに感謝された(笑)。あと嬉しかったのは、他のバンドマンがたくさん来てくれたこと。数年前まで素人軍団の寄せ集めだった僕らは、一線で活躍している彼らには相手にされていないと感じていたんですが、ようやく彼らに興味を持たせることができたのかなって思いますね。同じ土台にようやく立てた気持ちです。

-結成当初は素人ながらもライブの場所を広げ、人との出会いを大切に活動を続けてきたP-fam。その動きが実って二度目となる音市場ワンマンも大成功したということですね。

りょーちん:今回のワンマン後にはHigh Speed Boyz inc.に所属することが決まっていたので、自主活動時代の最後のライブだったんです。結成から3年間の集大成として、悔いのないようにやりたいことは全部やろうと思って、三線やピアノを使ったり、踊ってみたり、コントしたりなど、音楽という枠に捉われずにP-famらしさを全開にしてやりたいことを詰め込んだ2時間半でした。

しょーやおぢさん: P-famのステージは俺らで作るものだし、直前まで自分たちのベストの形を考えながら作ることができたワンマンでした。本番中はお客さんからの愛を感じたな~。

‐愛を感じたとは具体的にどのようなことでしょうか?

ともくん:ワンマンライブは「お客さんへの恩返し」というテーマを掲げているんですけど、逆に俺たちがお客さんからもらっていることの方が多い。お客さん全員が楽しんでくれているのがステージから見ていて伝わってきて、嬉しくていつもよりもっと良いライブが出来るんです。何をしても盛り上がってくれるし、その瞬間は、「自分たちは世界一カッコいいバンドなんじゃないか」って勘違いしてしまうくらい(笑)。そのくらいワンマンライブっていうのは、お客さんからは大きな愛と勇気をもらえる場所なんです。 

昨年11月にミュージックタウン音市場で開催されたワンマンライブの様子。

‐前回やったインタビューでは、そのワンマンライブの感覚も分からない時でしたもんね。

りょーちん:でも、もうやらないでいいかな…(笑)

一同:おい!!!!(笑)。これからもやっていくよ!!!(笑)

ともくん:でもあの景色やステージに立っている感覚を味わうと、どんなにつらくしんどいことがあっても乗り越えられるんですよね。

所属事務所は、あの憧れのアーティストと同じところ!

‐ライブ前の告知で、「重大発表を行う」とアナウンスされていました。その発表とは、東京にある音楽事務所に所属することが決まったというニュースでした。おめでとうございます!しかも、りょーちんさんが尊敬してやまないGReeeeNさんと同じ事務所だとか。経緯を教えてください。

りょーちん:僕は中学生の時からGReeeeNさんが大好きで、当時からファンクラブにも入っているし、音楽を好きになったきっかけになったアーティスト。そんな彼らの所属事務所の方から連絡をいただいたんです。

‐連絡がきた事務所が、好きなアーティストが所属しているところって夢がありますね。連絡が届いた時はどういう気持ちでしたか?

りょーちん:メールの差出人の名前を見てすぐにGReeeeNさんの事務所だと気づきました(笑)。嬉しすぎて一気に子どもに戻ったかのようにはしゃぎました。メールをスクショして、バンドメンバーのグループLINEに載せて大はしゃぎ。人生で一番テンションが上がった瞬間でしたね。

-この話も実に「P-famらしいな」と感じました。今まで自らで掲げた目標は全て有言実行してきたバンドなだけに、所属事務所まで好きなところに行くなんて「さすが持っているな」というか。

りょーちん:本当にタイミングが完璧でした。個人的にも両親と「大学在学中にバンドで結果を出す」という約束をしていたので、事務所の所属が決まったのは嬉しかった。またうちの家族は全員GReeeeNさんのファンなので、親孝行できたと思っています。

しょーやおぢさん:バンドを続けていくために、これ以上ない説得材料だよね(笑)。

ともくん:音市場での初ワンマンライブを終えた時、沖縄で自主活動する限界を感じてしまったんです。3年間がむしゃらに突っ走ってきて、自分たちにできることは全てやってきたと思っていて。そのタイミングで「力になりたい」と声をかけていただいたのが、今の事務所の社長のJINさんだったんです。バンドとしてよりレベルアップするために、事務所に所属することが必要なことだと感じて、お世話になることに決めました。

がむしゃらに走ってきた3年間

高校時代、練習場所で使用していた地元の教会で即興のセッションを行うP-fam。

-この3年間の活動の振り返りをしていただきたいと思っています。語り切れないと思いますが、身になったことや大変だったことなどを教えてください。

ともくん:脇目も振らず突っ走ってきた3年間でした。

レン様:やれることは全てやりましたね。

りょーちん:素人の僕らは、とにかく場数をこなさなきゃと思っていたので、ライブハウスやバンド仲間に毎日「ライブに出してください、誘ってください」ってメールを送って、出られるライブには全て出演させてもらいました。そこが今の僕らの土台となっていると思います。行動すれば結果に繋がる!

ともくん:りょーちんも言っているように、結成直後に「出来ない理由を探す前に、まず動く」っていうバンドの合言葉を決めました。今考えたら無茶なスケジュールやイベントも組んだ時もありますが、やって損したことは一度もなかった。全て力になったと感じています。

-例えば、どのような無茶なことを?

りょーちん:1日6本ライブをしたり(笑)。一ヵ月でライブを20本やった月もありました。

しょーやおぢさん:夏場は毎週のようにストリートライブを重ねて、日焼けで丸焦げになったな~。

レン様:昼はストリートライブして、夜もまた街に繰り出し、道行く人を呼び止めてアコースティックライブを聴いてもらったりもしました。歩きながら歌って、すれ違う人全員に声かけて仲良くなって、立ち止まらせて聴いてもらっていました。今考えたら本当に無茶苦茶だよね(笑)。

ともくん:でも、そこからファンになってくれた人も多いですね。特に県外のお客さん。

レン様:僕たち県外でライブしたことは1回もないんですが、毎回ライブには県外からお客さんが来てくれるんですよ。その方たちもストリートライブで出会った人たちで、本当に有り難いです。

しょーやおぢさん:バンド結成時は、メンバーの就活も止めさせて、県外に住んでいたともくんを呼び寄せた(笑)。その後は全員でシェアハウスしたりと、波乱万丈なバンドです。

りょーちん:結成当初は、全員揃って同じ青色のTシャツを着けてライブしたりして。あれはダサすぎて売れないわ(笑)。

ともくん:あのままやり続けていたら、バンド名はBLuuuuEになっていたかも(笑)。

しょーやおぢさん:3年間で変わったことといえば、人と関わる時は相手の気持ちに立って接するようになりました。バンドやりたての頃に、先輩から「まずメンバーの気持ちが分かるようにならないと、音を綺麗に合わせることはできないよ」っていうアドバイスをもらったんです。そこから意識して、今では「この曲を作ったりょーちんは、僕らにこういう演奏を求めているんだろうな」など、気持ちを深く汲み取って考えるように努力できるようになりました。同じく日常生活でも。なので、少しは僕らの人間力も高まったかな(笑)。

ともくん:このバンドはメンバー4人が合わさった時の底力が凄いんです。それぞれの長所と短所を補える関係で、そこに強運が兼ね備わった謎の集団なんです! この4人なら例えどんな事が起きても乗り越えていけるだろうなって思います。1人1人はポンコツだけどね(笑)。

夢は故郷の読谷村でフェス開催!

-P-famの団結力は、何よりの強みだと思います。活動していく上でどうしても温度差って出てくると思いますが、全員が同じ目線で目標に向かっているP-famはどんな困難が訪れても乗り越えている。だからこそ、周囲に認められて、成長していっているんだろうなと思います。最後の質問ですが、新たな門出を向かえるにあたって、目標を教えてください。

しょーやおぢさん:地元の読谷村運動広場でP-fam主催のフェスをするのが一番の夢です!

レン様:それは絶対にやりたい! あと読谷村文化センターの鳳ホールでワンマンライブもしたいです!

ともくん:やっぱり故郷の読谷村は一番大事にしたい場所で、一番頑張りを認めてもらいたい場所です。村民に認められるバンドになりたいです。 あと結成時に、「5年後、日本武道館でライブをする」という目標を立てたので、あと2年以内に実現しなきゃいけないから死にもの狂いでやらなきゃ!(笑)。

りょーちん:僕は結成当初から「沖縄を代表するバンドになりたい」って思っていたんですが、最近はその思いがより一層強くなっています。だからこそ沖縄のことをもっと知らないといけないなって思って、三線など沖縄の楽器を使用した曲も作っていきたいと思っています。拠点はそのまま沖縄になりますが、活動する場所やスケールを大きく広げて新たなP-famを作り上げていきますよ!

【P-fam】

日本最南端から沖縄”P-POP”旋風を巻き起こす!!エンタメ系 4人組POP ROCKバンド!!
レン様(Dr)、とーもー(Vo)、しょーやおぢさん(Ba&Vo)、りょーちん(Gt&Vo)からなる、サトウキビ畑から産まれたてーげーいい感じの最強シロウト軍団!!

P-fam オフィシャルtwitter
https://twitter.com/pfam7​

メンバーtwitter
ともくん(https://twitter.com/lovers1tomo)
りょーちん(https://twitter.com/ri_chi2)
しょーやおぢさん(https://twitter.com/shoshoppppppp76?lang=ja)
レン様(https://twitter.com/C_LYN_drums)


― P-fam LIVE info ―

◆ORANGE RANGE presents “テレビズナイト019”
日時:
2019年4月13日(土)
場所:コザ・ミュージックタウン音市場 (マップはこちら)

◆P-fam ONE MAN LIVE
日時:
2019年4月28日(日)
場所:桜坂セントラル (マップはこちら)
時間:午後5時開場、6時開演
料金:2500円(ドリンク別)