SNSで届く本音 安心して相談できる場求めて【レインボーハート】


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私のツイッターのフォロワーは現在約3800人。学校で「LGBT・性の多様性」講演会を始めた2016年から急激に増え、その多くは中学生や高校生です。

学校講演会を行った時はできるだけ写真を撮り、ツイッターやインスタグラムなどSNS(会員制交流サイト)に学校名を入れて投稿するようにしており、講演を聞いた生徒たちがたくさんの「いいね」やリツイートをしてくれます。

すると、その学校の生徒だけでなく、SNS上でつながっている他の学校の生徒たちも見てくれているようです。彼らが毎日のように見るSNSに「LGBT」や「性の多様性」といった言葉や、ゲイの当事者が登場してくることで、少しでもLGBTを身近に感じたり、興味関心を持つきっかけになったらいいなと思っています。

実は「うちの学校にも講演に来てほしい」と積極的なメッセージを送ってくる生徒も多くいて、そのメッセージがきっかけで実際に講演会を行った学校もいくつもありました。

そしてSNSを通じて、相談も本当に多く寄せられています。昨年5月は、県内の中高校生だけで11人が相談してきました。複数の生徒と何度もやりとりすることもあったので、ほぼ毎日のようにメッセージをしていた状況でした。「LGBTの子どもから相談を受けたことがない」とおっしゃる方もいますが、実は相談したい子どもが少ないのではなく、安心して相談できる先がないだけなのだろうと思います。

ツイッターで実際に寄せられた相談(本人の了承を得て掲載しています)

「女性を好きになれないのがつらい」とSNSでメッセージを送ってきた沖縄の男子高校生がいました。周りの反応が心配で、親にも同級生にも誰にも言えない、と。思春期の高校生は性に関する興味関心が高く、周りがそうした話をしていても「男性が好きだ」なんて怖くて言えないだろうな、と私の高校生時代を振り返っても思います。

「感想用紙には書けなかったが自分はバイセクシャルで、みんなと違ってとても不安だったが、勇気をもらうことができた」と学校名と実名も添えて、学校講演を聞いてメールしてきた生徒もいました。

学校の感想用紙でさえ、先生や同級生の目に触れる可能性があり、それを恐れて本当のことは書けないという、LGBTの子どもたちが置かれている現状を象徴していると感じました。

SNSでのトラブルもあると聞きますが、子どもたちにとって便利なSNSがLGBTを知るきっかけになりますし、周りの誰にも知られることなく、自分が聞きたい時に相談ができるという点で、SNSの存在は本当に貴重なものだと感じます。

(2019年5月14日 琉球新報掲載)

 竹内清文(たけうち・きよふみ) 岡山県津山市出身、沖縄県在住。レインボーハートプロジェクトokinawa代表。LGBTをテーマに学校講演会を数多く行う。