八重瀬ヒューマン!!女性芸人が役場勤めを続ける理由<ハイビスカスパーティー ゆかさん>◇沖縄芸人ナビFILE.15

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ナビゲーターの「初恋クロマニヨン」松田正(まつだ・しょう)さんが、会いたい芸人を訪問する本コーナー。今回は同じ「よしもと沖縄」所属の女性コンビ、「ハイビスカスパーティー」ゆかさんを訪ねました。初の女芸人さんですがどんな会話に!? 楽しみな対談です。
(執筆:フリーライター・饒波貴子)


「沖縄芸人ナビ」は4月から「週刊レキオ」(毎週木曜発行)と連動。毎月第1週目のレキオで関連記事が読めるようになりました。ぜひご覧ください。




よしもとエンタテインメント沖縄(http://yoshimoto-entertainment-okinawa.jp/)に所属している、ゆかさん(左)とナビ芸人の松田正さん。よしもとの養成所・NSC沖縄校の同期で、同じ公演に出演する機会も多い2人ですが、じっくり語り合う機会は、意外にもあまりなかったようです。


地元愛で2足のわらじ



松田ナビ:八重瀬町で仕事をしているそうですが、詳しく教えてください。

ゆか:臨時職員でアルバイトのような立場なので、芸人活動と並行して続けています。観光面で八重瀬町を盛り上げる部署にいます。私は八重瀬町、元東風平町の屋宜原出身で、生まれた町が大好き。町をアピールできる観光の仕事にも携わりたいと思っていたんです。お笑い活動の中でメディアに出る機会をいただいた時に八重瀬町を紹介できる事もあり、つながっているかも。8が重なる8月8日を八重瀬町の特別な日にできないかという企画の「やえせDAY!?」で、町全体でイベントを行い、夏休みに遊びに来てもらう取り組みをしています。今年は「出張!よしもと沖縄花月」を開催できたので、とってもうれしかったです。各市町村で「出張!よしもと沖縄花月」をやってみたいので、一歩前進です。

松田ナビ:観光系の仕事は、お笑いに近いものがあって活動を生かしていけそう。反応はどうだった?

ゆか:台風の影響で雨風がすごかったんだけど、お客様が121名来てほぼ満席。他の市町村から、開催リクエストが来てほしいな〜と思っています。

松田ナビ:八重瀬町の好きなところは!?

ゆか:自分が育った場所なのではっきりしないけど・・・シーサーの原点といわれる県内最大で最古の石獅子があります。この獅子がいなかったら、シーサーはなかったかも!?300年以上前から同じ場所にいて、弾痕もありながら戦争を乗り越えてきた獅子です。字友利という集落にいるので、ぜひ会いに行ってほしいです。


県内最古の石獅子(撮影:ゆかさん)

松田ナビ:聞いたことはあるけれど、詳しく知らなかった! 他のおすすめスポットや食べ物など教えてください。

ゆか:町魚がトビウオで、捕れたてを使った「トビウオそば」があります。「南の駅八重瀬」で販売していますので、食べてくださ〜い。

松田ナビ:さすが詳しい! 八重瀬のプロフェッショナルにインタビューしているみたい(笑)。八重瀬を入れたお笑いのネタはある?

ゆか:1本だけあります。「あまり知られていない町だけど何がある?」というシンプルなやつで、地元でやったら全然ウケなかった(笑)。

松田ナビ:えっ!? なんでよ〜、身近な「あるある」ネタは一番ウケるのに! 僕たちは地元・読谷で、めっちゃウケるっていうネタあるけどな〜。今思いつく「八重瀬あるある」といえば?

ゆか:石を投げたら「神谷」に当たる。志多伯という地域は、ほぼみんな「神谷」さん。私の苗字「仲里」は少なくて、名乗ったら誰の娘かすぐ分かります(笑)。


ゆかさんが好きな八重瀬町内の風景(撮影:ゆかさん)

松田ナビ:そうなんだ!ゆかは柔らかいほんわかイメージだけど、どんな子どもだった?

ゆか:内気。学校終わるとすぐ家に帰っていたし、図書館に通うような子。運動が苦手だったけれど、ジャッキー・チェンの映画を見てかっこいいと思い、小学4年生から空手を始めました。高2まで続けて一応初段で黒帯。でもあまり上手じゃなくて、型を習った程度かな。

松田ナビ:それでもすごい! 空手の動きがお笑いに応用できたりしない?

ゆか:ない(笑)。でも最近イベントなどで使っています。

松田ナビ:素晴らしい! お願い、今手を突いてもらっていい? 



松田ナビ:芯があって全然違う! 図書館に通う女の子が空手をするのは、すごいギャップ。

ゆか:そう(笑)!? 中学までは内気で、高校からは今のような感じになりました。高校の友達は芸人やっていると言っても何も思わないけど、中学の時の友達は「やばい! ゆかが芸人になるなんて」って驚いているらしい。

松田ナビ:高校生のころに変わったきっかけは?

ゆか:浮かばないので高校デビューかな? 見た目は変わってないけどね(笑)。高校からは行動的になりました。

受験ストレスでネタを文字起こし



松田ナビ: お笑いを始めたきっかけは?

ゆか:大学進学を目指していた浪人時代のキツイ時、勉強の合間にお笑いを見ていたんです。ストレスがあったし、中高時代からお笑いは好きだったから。そしたら同じ芸人さんが同じネタをやっても、日によってボケ方やお客さんのウケ方が変わっていると思い始めて・・・気になった芸人さんのネタを、文字で一語一句書き起こしました。その内にネタを書いてみたいと思うようになり、書いたからにはやりたくなって。でも勉強中の身で真面目な性格だからまずは大学に入って、本当にお笑いがやりたかったら、東京か大阪のNSC(よしもとの養成所)に行こうと考えました。そしたら大学3年生の時にNSC沖縄校ができたので、「家から通える!」と思って一期生で入りました。

松田ナビ:びっくり!テレビを見ながら芸人さんのネタを書き起こす、そのパワー・・・!? 現実逃避かな。勉強がつらくてお笑いを見て没頭して、書くぐらい好きになったとか?

ゆか:分からない。現実逃避だったかもしれないけれど、その時は真剣。なんで前はここでウケていたのに、今日はウケなかったんだろう。でもまたウケる日もあったり。お客さんによって変わるんだとか分かりやすくなっているとか、シンプルにボケとツッコミを色分けしたり。

松田ナビ:分析してたんだ! 女の子らしい几帳面さもあると思いましたが、そんな風にしていたなんて聞いてみないと分からないもんだな。ちなみに分析した芸人さんは誰?

ゆか:NON STYLEさんとチーモンチョーチューさん。元々漫才が好きでした。

松田ナビ:僕はお笑いの文字起こしはした事ないけれど、小学校の時に野球の試合を見ながらスコアブックを付けていた。同じではないけど近いかな(笑)!? 意味のない行為だろうけど、書くぐらい野球が好きだった。ゆかもとにかくお笑いが好きだったんだな。

ゆか:そう、披露されたネタを書く意味はないけれど、ネタの書き方は分かったかもしれない。

松田ナビ:めっちゃあるだろうし文字にしたら仕組みが分かって、どこで笑っているのか理解できる。とても大事な事!

ゆか:生真面目な性格が出ちゃったのかもしれない。大学生になってもしばらく続けて、やっぱりお笑いがやりたくて今につながっています。



松田ナビ:その後、実際にお笑いを始めてどうですか?

ゆか:内気で真面目で人前に出るのも苦手で、おちゃらけた事もなかった私。そんな私がNSC沖縄校に入ったのは、大きな一歩でした。でも同期の初恋クロマニヨンは、漫才で自己紹介しておしゃべりも上手。自分にできるのかな~と不安でしたが、負けず嫌いな面もあるので絶対に1年は続けようと思いました。コンビを組んで漫才をやり、無事に卒業できて安心したので「負けるもんか」という気持ちが残ったまま続けているんだろうなって思う。一期生は女の子がたくさんいたけれど、最初に辞めるだろうと思われていた私がまだ続けています(笑)。

松田ナビ:ゆかは柔らかくツッコむ。沖縄で女の人がお笑いをやったら「なんとかやし!」とか、「〜〜するな!」みたいな強い男言葉になっていくけど、そうはしない?

ゆか:沖縄色のある強めの言葉使いは、考えた事もあったけど言いたくなかった。自分の中で標準語でやりたい気持ちがあります。方言でボケたりはしているけどね。

松田ナビ:女の子のしゃべり口調で漫才をやっている印象だったので、自分を知っている人なんだな〜と思ってました。

ゆか:そう。私が強めにツッコんだら、そんな人じゃないだろ〜ってお客さんが思いそう。今やっている感じが自分の限界です。

松田ナビ:早い段階で自分のキャラクターに気付くなんてすごい!自己プロデュースが出来ていると思う。

ゆか:出来ているかな〜!? 4〜5年前にちあきと「ハイビスカスパーティー」というコンビを組み、養成所では私が先輩だけど、年齢と人生経験はちあきの方がお姉さん。今はちあきがボケ役だけどツッコミ的な役もできそうだと思え、他にイメージできるネタもあるので変えていくかもしれない。

松田ナビ:俺たちと一緒。ツッコミ役の新本が弱いから合わないと思って、俺がツッコんだりしていたわけよ。ボケとツッコミの先入観をなくすボーダレスみたいなのをやってもいいんじゃないかな、と思い始めたから同じかもしれない。個性に合った事をやらないと、お客さん笑わないからな〜。

ゆか:無理をしているのが、お客さんに伝わるんだろうね。他の人のネタを見た時、無理している場合は分かるから。どうにか程良くやりたい気持ちがあっても、難しくて感覚がつかめない。

夢は英語で漫才



松田ナビ:ネタはゆかが作っていると思うけど、100パーセント!?

ゆか:ちあきの意見も聞くようにしています。言葉のチョイスが上手だし、ボケを生かすにはどんなシチュエーションがいい? とかね。私は漫才しか書けないし、ちあきは多分コント向き。突拍子もない事を思い付きそうだからネタも書いてもらいたい。

松田ナビ:お笑いをやっていく上で心掛けている事は?

ゆか:女の子女の子するネタは書きたくない! 沖縄では女芸人は珍しいから、女性らしさを生かさないといけないとは思うんだけど「彼氏がほしい、結婚したい」みたいな入り方はしたくないな。

松田ナビ:確かにゆかたちのネタは、男がやっても成立しそう。最近は全国的に女性コンビが多く、大体はブスいじりとか結婚がどうっていうネタになりがちだけど、中には男みたいな発想の人たちもいて、ゆかが目指しているのはそこなのかな。長所と短所も教えてください。

ゆか:長所はう〜ん・・・何だろう!? 短所は本音を言えない時がある。周辺の人には言えても、傷付けちゃうかなと思って本人に言えなかったり。相方のちあきに言えない事もあるので、向こうも言わない時があると思う。
短所は他にもいっぱいあって、すぐ泣く事。うれしい時も、悲しい時も泣いています。

松田ナビ:え〜見た事ない! お笑いでいい結果出して泣いた事ある?

ゆか:結果が悪くて泣きました。「O-1グランプリ」の1回戦に通れなかった時にね。「お笑いバイアスロン」も「M-1グランプリ」も2回戦に進んでとってもうれしかったから、この勢いでと思っていた時にダメで。何で行けなかったのか考えて泣けてきました。でも高校生までは人前で感情が出せず、泣いちゃいけない、思った事を口にしちゃいけないと考えていました。それがお笑いを始めていろんな人に出会って、変わったと思う。自分はちっぽけな存在で、誰もそんなに気にしていない。悲しい時はエ〜ンと泣いて、うれしいときはやった〜って喜ぼうと思えるようになりました。人を傷付けてしまうかもと、遠慮する気質は残ったままだけど。

松田ナビ:お笑いやって、喜怒哀楽が出しやすくなったんだ。お笑いをやっていて、うれしくなる時は?

ゆか:手を叩いて笑ってくれて、見送る時に「面白かったよ」って声をかけてもらえる時かな。友達もよく劇場に来てくれるし、頑張ろうってお互い励まし合っています。

松田ナビ:いろいろ聞いて「ゆかってそうなんだ」って気持ちになりました。ほんわかしていて負けず嫌いな面が多少あっても、ネタを文字起こししているような人とは思わなかったし、意外なエピソードが聞けました。お笑いを始めた後に役場で勤めるようになったそうだけど、どんな感じですか?

ゆか:役場の人も応援してくれる。飲食店で働くより自分はデスクワーク向きだと思うし、観光関連はやりたい仕事。みなさんが頑張ってと送り出してくれる。舞台やラジオで八重瀬を紹介できるし、相乗効果になるとうれしいです。

松田ナビ:俺は同じ土俵にいるから応援するとは言えませんが、どこか応援したくなるし、家族も役場の人も友達もみんな応援しているでしょう。

ゆか:応援しているのかな〜!? 家族には「いつお笑い辞めるの?」って聞かれるけど(笑)。

松田ナビ:本当は応援していると思います。最後に展望を教えてください。

ゆか:市町村の祭りに出たり老人ホームを訪問したい。そして英語で漫才に挑戦! ちあきは日常で英語を使っていて、私は高校と大学で勉強したから。文法などは忘れちゃったけど(笑)。そして一発ギャグがほしいので頑張ります!

松田ナビ:外国人の前で漫才をして、一発ギャグで笑いが取れたら楽しいですね。ありがとうございました。





【対談を終えて・・・】

☆ゆかさん☆
次は私にナビゲーター役をさせてください! 松田さんには聞きたいことがいっぱい。みんな多分怖くて聞けないから(笑)、私が頑張って引き出します。今日は素直な気持ちで正直な思いを話すことができました。

☆松田ナビ☆
「柔らかくて優しくて女の子っぽい人」というのが、今までの印象でした。でも話を聞いて男女とかは関係ない、この人は一人の人間だ。「八重瀬ヒューマンがお笑いに立ち向かっている!」という強さを感じる芸人さんでした。




【プロフィール】


★ゆか/ハイビスカスパーティー

生年月日:1989年10月2日
出身地:八重瀬町
趣味・特技:写真、新しい知識集め、ほうきバランス、舌を3つに曲げられる
Twitter:@yukaNkzt

★松田 正(まつだ しょう)/初恋クロマニヨン

生年月日:1984年8月22日
出身地:読谷村 
趣味:ソフトボール/漫画
特技:野球
Twitter:@hatsukoimatsuda

 



 


【インフォメーション】


よしもと沖縄花月フライデーナイトライブ(YOFライブ)
ガチンコネタバトル 「よしもと-Uchinah-ランキング」

日時:10月11日(金)19:15開場/19:30開演
料金:前売り・当日ともに1000円 
内容:よしもと沖縄芸人全組出演!お客様の投票でランキングが決定します!
会場・お問い合わせ:【よしもと沖縄花月】
那覇市前島3-25-5 とまりんアネックスビル2階 (マップはこちら
☎︎ 098-943-6244
公式サイト==> http://www.yoshimoto.co.jp/okinawakagetsu/



執筆:饒波貴子(フリーライター)

ライタープロフィル
饒波貴子(のは・たかこ)
那覇市出身・在住のフリーライター。学校卒業後OL生活を続けていたが2005年、子どものころから親しんでいた中華芸能関連の記事執筆の依頼を機に、ライターに転身。週刊レキオ編集室勤務などを経て、現在はエンタメ専門ライターを目指し修行中。ライブで見るお笑い・演劇・音楽の楽しさを、多くの人に紹介したい。



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