県産野菜を栄養たっぷりのパウダーに!?【島ネタCHOSA班】


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糸満市に県産野菜を粉末に加工している会社があります!カンダバーとか、珍しい野菜もあるみたいですよ。ぜひ調査お願いします!!

(西原町 くめちゃん)

調べてみると、糸満市豊原にあるオキナワパウダーフーズということが判明。県産野菜を使った粉末が「まるっと野菜パウダー」という商品名だということも分かったところで、さっそく調査員は話を聞きにオキナワパウダーフーズに向かいました。

まるっと野菜パウダー(提供写真)

素材の風味そのままに

調査員を迎え入れてくれたのは代表の平良英隆(ひでたか)さん。

創業は2013年。「沖縄パウダーフーズ」の名前で平良さんの父が代表を務め、主にサトウキビの搾りかすであるバガスを食用として粉末化・販売していたといいます。

その後、2018年に社名を現在のオキナワパウダーフーズに変更、平良さんが会社を引き継ぎ、県産野菜のパウダー化に取り組み始めました。

オキナワパウダーフーズでは、生の野菜や果物を洗うという1次工程の後、乾燥・殺菌、粉砕工程を経てパウダー化。ここまで一貫してできる所は全国的にも珍しいのだそう。

「保存料や着色料などの添加物は入れず、素材本来の色や味、香りを残しています。実際に香りを嗅いでみてください」と島らっきょうパウダーの封を切った平良さん。

促されるまま調査員が鼻を近づけると、島らっきょう特有の強い香り… これはすごい! まるで生の島らっきょうを嗅いでいるようです。

「島らっきょうパウダーは肉に振りかけたり、しょうゆやドレッシングの隠し味に使うなど、調味料としても万能ですよ」と平良さんは笑います。

「パウダー化することのメリットとして、野菜の栄養がまるごと取れるようになります。例えば、紅芋の特徴的な栄養素『アントシアニン』は皮に多く含まれます。紫外線から身を守るために、植物は皮にそういうものを作るんですけど、普段捨ててしまっている部分も全て凝縮してパウダーに閉じこめているんです」

パウダーにしているのは、食べられるにも関わらず、天候などの影響で傷がついてしまっているものや、形がいびつなもの。青果として出せず、本来であれば廃棄されてしまうようなC級品だといいます。

「どんなに形が悪いものでもパウダーにすれば関係ない。そういうところもパウダー化の強みです」と教えてくれました。

左から桑の葉、紅芋、かぼちゃのパウダーを使用したマフィン。いとまーる内にある直営焼き菓子店「VEGE BAKE(ベジベイク)」で販売している(提供写真)
紅芋、モリンガ、ビーツのパウダーで作った特製パンケーキ。(提供写真)

農業の未来考える

オキナワパウダーフーズでは、現在までにおよそ20種類もの野菜や果物のパウダー化に成功しています。特に沖縄の伝統的島野菜であるカンダバーやクワンソウなどのパウダー化には積極的に取り組みました。

「伝統的島野菜を食べる習慣が減っているため、生産者もそれに比例して少なくなってきているんです。パウダーにすることで、栄養価の高い伝統的島野菜や、沖縄の食文化を残していきたいと考えています」と平良さんは語ります。

業務用をメインに、健康食品メーカーやお菓子メーカーなどに卸販売をしていたオキナワパウダーフーズ。しかし3年ほど前から、個人向けにオンラインショップを開設し、ホームページやインスタグラムで「まるっと野菜パウダー」を使ったレシピを公開しています。

「僕らは農家さんが作物を作ってくれないと仕事ができないんですけど、農業ってほんと大変なんですよ。農家さんが汗水垂らして作ってくれた野菜を良い粉末にして、それがおいしい食べ物などに生まれ変わって消費者の元に届くっていうのは『やっていてよかったな』って思います」

今後は「野菜の輸出が難しい海外に向けて、県産野菜の良さを発信していきたい」と語る平良さん。

食品加工の側面から沖縄の農業を支える熱い思いに、こころ震えた調査員なのでした。


オキナワパウダーフーズのオンラインショップ

https://powderfoods-online.com/

(2023年7月27日 週刊レキオ掲載)