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「ジュネーブ市の11倍」玉城デニー知事、基地集中の異様さ訴え 国連NGOシンポで講演


「ジュネーブ市の11倍」玉城デニー知事、基地集中の異様さ訴え 国連NGOシンポで講演 国連欧州本部で開かれたサイドイベントで、米軍基地の集中による環境問題や生活への悪影響などについて講演する玉城デニー知事=19日午前11時(日本時間同日午後6時)すぎ、スイス・ジュネーブの国連欧州本部
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ジュネーブ19日=沖田有吾】19日午前11時(日本時間同日午後6時)、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で国連NGOの市民外交センターが主催するシンポジウムで講演した玉城デニー知事は「県内の米軍専用施設の面積は1万8483ヘクタールで、ジュネーブ市の面積の約11倍に当たる」と現地の話題に引きつけながら、沖縄に在日米軍専用施設が集中している異様さを伝えた。シンポジウムには各国NGO関係者ら約20人の聴衆が集まり、知事の講演に耳を傾け、理解を示した。

 玉城知事は、在沖米軍基地について「本来、安全保障の問題は国全体の問題だが、日本政府は日米安全保障体制を優先するあまり、一地域である沖縄に基地を集中させ続けている。これは地域の自主性と自立性を脅かしかねない事態だ」と訴えた。

 県民生活に与える影響について、普天間飛行場や嘉手納基地の周辺の川や湧き水から国の暫定基準値を超える有機フッ素化合物(PFAS)が検出され、地域住民に大きな不安を与えていることを説明した。調査により米軍基地が汚染源である可能性が高いと考えられるものの、特定するための立ち入り調査に米軍からの許可が得られない現状について「不平等な状況が続いている」と批判した。

 7月に米ハワイを訪れた際に、地元の水道局の担当者と米軍施設からの燃料流出事故について意見交換したことを報告。「発覚後、ハワイ州は国と折衝した結果、事故のあった施設は撤去、閉鎖することが決まった。水源の水質についても米軍が公表することになっている。同じ米軍施設での環境問題について、米国内と国外で対応の違いがあることは明らかだ」と指摘した。

 名護市辺野古の新基地建設に関して、沖縄防衛局の設計変更申請を県が不承認とした処分を巡る訴訟で、最高裁が不承認理由に触れることなく県の訴えを退けたことについて「主権者である国民、地域住民の声に答える権限と責務を持っている沖縄県の自主性や自立性、ひいては日本国憲法に書かれる地方自治の本旨をも形骸化する、極めて重大な問題だ」と力を込めた。

 演説を聞いた国際平和ビューローのショーン・コナー事務局局長は「外交が緊張緩和のために必要だ。知事は緊張を削減しようと努力している。人権の侵害を軽減し、環境的な問題を緩和しないといけない」と述べた。