<金口木舌>たとえ小さな段差でも

 道路の舗装面と路肩の境界にある小さな段差は、自転車乗りにとって危険な存在だ。段差にハンドルを取られるとバランスを失い、転倒する

▼当方も痛い目に遭った。走行中はタイヤのすぐ先にある危険には気付かない。路面にたたき付けられ、体をさすりながら1センチ足らずの段差を見つけて、あぜんとした。こんなに小さな段差で転ぶとは
▼歩道と車道を隔てる縁石の高さは約15センチを基準とする。道路をはみ出る車から歩行者を守ってくれるが、場合によっては障壁にもなる。足が不自由で、縁石に苦しんでいる男性を那覇市のバス停で見て実感したことだ
▼男性はバスの降車口から歩道まで渡れず、縁石の手前に降り立った。その後も縁石が邪魔して歩道に立つことができず、バスが離れるまで立ち往生した。男性が乗っていたのは障がい者に配慮したノンステップバスだった
▼小さな段差や壁の前で心身を痛め、苦悩する人がいる。そのことに無頓着であってはならない。知らず知らずのうちに、私たちは近しい人の苦悩を見過ごしてはいないか。豊見城市の悲しい出来事に接し、そのことを考える
▼いじめを訴え、命を絶った男児の苦悩を想像する。調査を踏まえ、市教育委員会は「重篤ないじめ」はなかったと説明した。しかし、男児は巨大な壁の前で苦しんだのではないか。絶望の深さを見誤ってはならない。