<金口木舌>卑怯なコウモリ


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 イソップの寓話(ぐうわ)から。昔、獣と鳥が争っていた。コウモリは獣が優勢だと「私は獣だ」と言い、逆だと「鳥だ」と主張した。その一時しのぎの言動で、後に双方から疎外された。題名は「卑怯(ひきょう)なコウモリ」

▼口では「県民に寄り添う」と言いつつ、基地問題で強圧的な安倍政権も似た類いか。参院選翌日の11日早朝、沖縄防衛局は東村高江のヘリパッド工事再開に向けた資材を運び入れた。不意を突くやり口は何度も見せられた光景だ
▼2011年の暮れ、仕事納めの日の午前4時に、防衛局長ら20人が辺野古のアセスメント評価書が入った段ボール箱を県庁の守衛室に置いて立ち去った。闇に紛れた夜襲だった
▼13年3月の埋め立て申請提出では、県北部土木事務所の担当課以外の窓口に書類を置き、こそこそ退散した。14年7月、キャンプ・シュワブに掘削調査用資材を搬入したのも午前2時すぎだった
▼13年7月の参院選翌日、普天間飛行場野嵩ゲートに抗議市民が入れないよう鉄柵を設置したのも未明。このお役所はお天道さまの下では堂々とできない業務をしているのか
▼卑怯なコウモリはみんなから嫌われて夜しか行動できなくなった。裏をかき、だまし討ちをする防衛局の手口も、後ろめたいものがあるからなのだろう。民意を踏みにじる国の茶番劇、胸を張って子どもたちに見せられますか、安倍晋三さん。