<金口木舌>暴走はご法度


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 今年7月、大阪府内の高速道路を40キロの速度超過で運転し、道交法違反で摘発された鶴保庸介沖縄担当相に、東京簡裁は罰金6万円の略式命令を下した。「襟を正す」と当人は反省の弁

▼片や東村高江では、のろのろ運転でヘリパッド建設に抗議した運転手が公務執行妨害で逮捕された。停車を求めた際に急発進し危険だったというのが警察の言い分。運転手は「事実に反する」と否認した
▼「大臣は暴走で摘発、高江は徐行で逮捕か」と軽口は言えぬ。道路中央に駐車した男女も往来妨害容疑で逮捕された。市民と警察の対峙(たいじ)で住民生活に支障が出たというが、身柄拘束の必要はあったか。法を執行する警察の姿勢が問われる
▼法の番人たる裁判所のお沙汰を読み直した。辺野古違法確認訴訟の福岡高裁判決である。「コピペ判決」の批判もうなずける。沖縄の地理的優位性や海兵隊の一体的運用を論ずるくだり、防衛省文書と見まがうほど
▼「辺野古唯一」の決め付けと安保のくびきに苦しむ沖縄戦後史への無理解が極まっている。暴走とは言わぬが、司法が国を追走している。三権分立と法の下の平等がかすんでゆく
▼交通違反でみそがついた鶴保沖縄相。判決当日の会見で「注文はただ一つ。早く片付けてほしい」と発言した。自分のスピードで沖縄を扱うのはやめてほしい。路上と同様、県民との対話も暴走はご法度だ。