<金口木舌>遺跡を観光資源に


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 世界最古の釣り針など、大発見が相次ぐ南城市のサキタリ洞遺跡。記者会見用資料に「沖縄遺産のブランド開発発信事業」という文字があった。一括交付金事業なのだ

▼調査開始から2年目の2010年に旧石器時代の幼児人骨が見つかった。重要遺跡と見た県立博物館・美術館は一括交付金を申請。12年度から増えた予算で調査が加速、期待通りの成果につながった
▼予算は展示会にも充てられており、11月15日から同館で「港川人の時代とその後」展が始まる。全国での移動展も、今年1~2月の九州歴史資料館(福岡県小郡市)を皮切りに始まっている。まさにブランドの開発・発信といえるだろう
▼サキタリ洞は観光施設「ガンガラーの谷」にあり、そこのレストランではコンサートも行われる。その脇の2カ所が発掘現場だ。土地を所有する株式会社南都は、調査に全面協力しながら、説明板や写真で解説し、ツアーを実施している
▼沖縄には自然、歴史、文化、芸能といった豊かな自然文化資源がある。そこに今、世界的な旧石器人遺跡が加わった。これらを観光に生かさない手はない
▼石垣市の白保竿根田原(さおねたばる)洞遺跡も世界的な旧石器人遺跡だ。本年度で調査をいったん終えるが、その後の活用については白紙だ。サキタリ洞を先例に、地域の財産として活用できないか。関係者の知恵と努力を期待したい。