<金口木舌>ワカゲノイタリの未来


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 名護市二見に「ワカゲノイタリ村」という若者たちの実験村がある。沖縄国際大4年の具志堅秀明さんが発起人だ。「自分たちで暮らし、経済、社会の在り方を塗り替える。そんなモデルとなるコミュニティーを創る」のが目的。自給自足を目指して昨年11月に始まった

▼具志堅さんは、21~23日に開催された日本環境会議沖縄大会で「青年と環境」分科会のコーディネーターを務めた。分科会では、多くの報告や議論を受けて宣言文をまとめた
▼「私たちは『国家』の安全のためではなく、地域に生きる一人ひとりの安全や人権が保障される『真の安全保障』を求める」。軍事化による環境破壊、人権侵害に拒否を突き付けた
▼「アジア、特に東アジアを殺戮(さつりく)や戦争による経済利益を貪(むさぼ)る『軍産官学報複合体』の餌食にさせてはならない。このような複合体に煽(あお)られ、近隣諸国と軍拡を争うのではなく、(略)隣国の人々と協働することが重要である」。メディアにも厳しい批判の目を向けた
▼しかし、問題意識を同世代と共有する難しさに悩む。具志堅さんは分科会で「友達に問題意識を強調するほど、溝ができてしまう」と語った
▼そんな溝を埋める入り口にと始めた「村づくり」は「壁だらけ」と率直に認める。「わくわくすることをやっていきたい」という“若気の至り”が、実を結ぶ日を待ちたい。