<金口木舌>台湾2・28事件


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 1947年に台湾で起きた2・28事件から70年を迎える。蔡英文・民進党政権は来月28日の追悼式典を数千人規模にすべく準備を進めているという

▼犠牲者は2万人以上と言われ、沖縄出身者も巻き込まれた。昨年2月、浦添市に住む青山恵昭さんの父・恵先(えさき)さんへの賠償が、外国人として初めて認められた。昨年11月には県内からさらに2組の遺族が申請しており、式典の日までに結果が出そうだ
▼青山さんの申請に対し台湾政府は当初、日本政府が台湾元従軍慰安婦の賠償に応じないことを理由に拒否した。しかし、台湾の司法は人権に国境はないと判断。これを政府が受け入れた
▼台湾政府の人権意識の高さを示したものとして、青山さんや日本、台湾の関係者は評価した。同時に、慰安婦問題に対する日本政府の姿勢が問い直された
▼青山さんが代表を務める「二二八沖縄会」は毎年、追悼式典に出席している。今回は、昨年12月に開館した旧日本軍による従軍慰安婦をテーマにする「おばあさんの家-平和と女性人権館」を訪ね、民間交流を進める
▼日本政府が2002年まで実施した「償い金」事業で、台湾の被害者の多くが受け取りを拒否した。韓国の場合と同様、「日本政府の責任が不明確」という理由だった。台湾側の姿勢を受け、日本政府は改めて被害者に真摯(しんし)に向き合うべきではないだろうか。