<金口木舌>知って行動するための映画


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 2016年度の防衛省の在日米軍関係予算は5566億円。これに他省庁予算、国有地の借地料、「アメとムチ」のアメ分などを合わせると約9千億円に達する。ドキュメンタリー映画「ザ・思いやり」は、これを「思いやり予算」として追及する

▼「オモイヤリヨサン」の疑問を解明すべく日本在住の米国人、リラン・バクレー監督が軽快な音楽に乗せて取材していく。沖縄、横須賀、厚木を巡り、大盤振る舞いが明らかになっていく
▼さらに米国で街頭インタビューを行う。日本が4万人以上の米軍を受け入れ、その費用を全て負担していることに、「考えられない」などと驚きの声が上がる
▼イラク戦争の映像でトーンは一転。何のための基地か問い掛ける。沖縄からグアムへの部隊移転問題も先住民の視点から見つめる。エンディングの「目覚めよ。私たちの税金が人権侵害に使われている」というメッセージが印象的だ
▼1年余りで県内を含め全国で400回上映されているという。同映画の事務局、佐藤契(ちぎり)さんによると、最も多い感想は、金額や使途などを「全く知らなかった」というもの
▼パート2「希望と行動編」の制作が、4月完成を目指して進んでいる。今度は現状を変えるための行動を呼び掛ける内容になる。2作とも県内外、海外で多くの人に見てほしい。そして、行動につなげていきたい。