<金口木舌>なまからどぅやいびんどー


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 「承認撤回必ず」が本紙1面の大見出しを飾った。でも「ちばらなやーさい。なまからどぅやいびんどー」に胸を打たれた人もいよう。新基地阻止集会に出席した翁長雄志知事のあいさつだ

▼「頑張ろう。これからだ」という共通語よりも、うちなーんちゅの心に響く。最近、しまくとぅばを織り交ぜてあいさつをする人が多いのも、情と理の双方に訴える効果を考えてのこと
▼「共通語励行、方言禁止」から「しまくとぅば継承」へと時代を導いた小さな灯がある。1960年に始まったラジオ沖縄の「方言ニュース」だ。35年にわたりキャスターを務めた伊狩典子さんが昨日の放送で引退した
▼初代キャスターで琉球古典舞踊の大家、金武良章さんは高齢者にニュースを伝えながら、若い人に島の言葉の良さを理解してほしいと願ったという。この願いは伊狩さんら歴代キャスターに引き継がれた
▼「方言ニュースうんぬきやびら」で始まる伊狩さんの格調ある語りを聞くと、背筋が伸びる。「うんぬきやびら」が「申し上げます」の意味とは知らなかった当方には、しまくとぅばの教科書だった
▼「うちなーぐちを広めるために生まれた使命感がある」と任じる人だ。これからもしまくとぅば普及活動を続けると聞く。人生の先輩に失礼を承知で「にふぇーでーびる。なまからどぅやいびんどー」の言葉を贈りたい。