<金口木舌>個々の人間力の大切さ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ファストフード店で、種類の多さに目移りしたことはないだろうか。味はもちろんセットやサイドメニューなどの組み合わせにも店舗独自のアイデアが見える

▼どのようにして新商品が生まれるのか。ある企業経営者に聞いたことがある。「顧客の気持ちで毎日、味や素材を丁寧に吟味し食べ比べしてくれている」。女性従業員の方を指さして感心するようにうなずいた
▼機械に頼らず、手間暇をかけて自らの五感で商品をチェックする。地道な努力や経験、生活感が物を言う。経営者の言葉から従業員個々の人間力を生かすことがいかに大切かあらためて感じた
▼「周囲への何げない気配りが接客力につながっている」。過日、大手小売業の社長からもある従業員について興味深い話を聞いた。社長を感激させた“目配り力”を備える従業員。その原点は高校時代の経験にさかのぼる
▼出身校は県立与勝高校。同校には開校時から三十数年続く「お掃除大会」がある。3日間にわたりクラス対抗で校内をくまなく清掃。手を抜かない、忍耐力…社会で求められる資質が自然と身に付くようだ
▼同校の卒業生の知人の男性教師は自身の経験を伝授しながら「受け持つクラスの教室は校内どこにも負けないほどきれい」と語る。お掃除大会で学びやも生徒の心もピカピカに。その人間力で社会に大きく羽ばたけと願う。