<社説>島尻氏発言 沖縄担当相の資質を疑う

 物議を醸す発言の事例には事欠かない人だが、これはいかに何でも看過できない発言である。辺野古新基地建設に反対する翁長雄志知事の政治姿勢をめぐり、島尻安伊子沖縄担当相が沖縄関係予算の確保に「全く影響がないというものではない」と述べた。

 米軍基地と沖縄予算を露骨にリンクさせた発言だ。基地問題で政府と対峙(たいじ)する知事に対して“兵糧攻め”をちらつかせた感は否めない。いったいどこの県の選出議員なのだろう。
 発言は、沖縄担当大臣としての資質も疑わしめるものである。この大臣が所管する内閣府沖縄担当部局やその予算の本質を十分に把握していないと思われるからだ。
 根拠法は沖縄振興特別措置法だが、同法には「沖縄の特殊事情に鑑み」とある。「特殊事情」とは戦後27年間、日本の施政権外にあった歴史的事情、広大な海域に多数の離島が点在する地理的事情などを指す。前担当大臣の山口俊一氏は「沖縄の歴史的、社会的、地理的諸事情を勘案した特措法に基づいて沖縄振興を図っている」と述べたが、それはこの解釈を踏まえているのだ。だから山口氏は続けて「引き換えの米軍基地は論外だ」とリンク論を否定していた。
 歴代大臣も同様に述べている。橋本龍太郎元首相など、普天間基地と振興策のリンクを問う記者団に「(そんな質問は)悲しい」と答えている。島尻氏の発言は、こうした積み重ねを担当大臣自ら突き崩すに等しいのである。
 3千億円を超える沖縄関係予算は、その圧倒的大部分はどこの県でも中央省庁の予算を通じて受け取っているものと同じである。それを沖縄担当部局が一括して計上しているにすぎない。
 「沖縄振興予算」などと呼ばれるから、基地の見返りとして特別に受け取っている予算だと思われがちだが、大きな誤解なのである。
 基地とのリンク論は、新基地と引き換えでなければその通常の予算も計上しないという発想であろう。どの都道府県も国民として等しく受けている行政サービスを、沖縄県にだけは新基地を容認しない限り認めないというようなものなのである。
 沖縄担当大臣であればこのような発想に敢然と挑戦し、異議申し立てしなければならないはずだ。だが島尻氏の発言はむしろその発想に同調している。資質を疑うゆえんはそこにある。