市長選政府反応 民意無視は許されない

 稲嶺進氏が大差で再選された19日の名護市長選の結果を受けてもなお、政府から看過できない発言が繰り返されている。

 小野寺五典防衛相は米軍普天間飛行場の移設問題に関し「普天間の危険性除去のため、現在の(辺野古への)移設案を着実に進めていきたい」と述べた。菅義偉官房長官は、稲嶺市長が市長権限を行使して辺野古移設を阻止する決意を示したことに対し、市長権限は限定的として、辺野古移設を推進する姿勢に変わりがないことを強調した。
 名護の民意は踏みにじってもよいという強弁にしか聞こえない。
 政府は3月にも、海底の地盤強度確認のためのボーリング調査に着手する。しかし、仮に市長権限をクリアしたとしても、政府の思惑通りに事が運ぶとは思えない。
 過去にも調査に対する市民の海上阻止行動が展開されており、今回も強行すれば激しい抵抗に遭うのは必至だ。流血の事態さえ招きかねない。辺野古移設に拘泥すればするほど普天間問題の解決は遠のくということを、政府はいいかげんに悟るべきだ。
 安倍政権は、首相自身の靖国神社参拝で米国を「失望」させたことを辺野古移設で挽回しようと、躍起になっているようにも映る。
 しかし、辺野古移設を強行し事態をさらに悪化させれば「失望」を深めるだけだろう。4月にはオバマ大統領の来日も予定されているが、それさえもが延期か中止に追い込まれ、日米関係全体に深刻な影響を及ぼしかねない。
 米国とて、辺野古移設がこじれて民意が反米感情に転化し、安保体制を揺るがす事態は避けたいはずだ。日本政府に非民主的な強権行使を求めたという悪い印象を世界に広めることにもなる。
 これ以上、普天間問題で失政を続けることはあまりにも愚かだ。日米両政府は民主主義国家を標榜(ひょうぼう)するのなら、名護市民、沖縄県民の民意に沿い辺野古移設を断念すべきだ。
 今回の市長選は海外メディアなどの関心も高かった。「沖縄の声に日本政府が耳を傾けないため、沖縄の市民活動は国家レベルを飛び越え、国際レベルで進められている」との指摘も聞かれた。
 世界の有識者の辺野古移設反対声明に見られるように、沖縄の民意は国際的な支援を得つつある。日米両政府はこうした国際世論の動きも甘く見るべきではない。

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