<南風>強まる沖縄と台湾の経済連携


社会
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 最近、沖縄と台湾の経済交流が活発だ。今年だけで双方の経済団体が3分野でMOU(相互経済連携覚書)を締結した。3分野とは、ものづくり産業、情報通信産業、半導体および医療機器産業である。相互で技術提携、商品開発、貿易拡大、投資などを促進する目的がある。

 これまで沖縄と台湾は貿易が中心だったが、ここ2年ほどで技術提携や投資など一歩踏み込んだ経済交流に変化している。沖縄のトリムは、廃ガラスを原料とする人工軽石製造プラントを台湾に輸出し、現地で農業や土木への人工軽石の活用を進めている。オキコは台湾ファミリーマートとパン製造の合弁会社を設立した。オリオンビールはこれまでの生ビールに加え、缶ビールの販売を台湾ファミリーマートで始めている。

 台湾から沖縄への進出企業もある。台湾の自動車部品メーカーが中城湾港経済特区に「菱山ブレーキ」という合弁会社を設立した。メード・イン・ジャパンの製品として輸出する計画だ。日本製なら将来のTPPにも対応できる。また、台湾嘉新セメントグループが那覇市国際通りにシティホテルを、豊見城市豊崎に大型リゾートホテルの建設計画を進めている。

 昨年、台湾から沖縄への観光客は初めて50万人を超えた。ANAの航空貨物輸送や琉球海運の海貨輸送が順調で、両地を結ぶ物流も拡充している。双方の距離はさらに近くなった。

 台湾は今年、蔡英文総統が誕生し、経済政策において中国一国集中からアジア市場に向かう「新南向政策」を進めている。沖縄県も「アジア経済戦略構想」の施策を進めており、双方の対外経済政策は同じ方向にある。

 この機に、一気に台湾との経済連携を緊密にすれば、本県経済のグローバル化の実現に向けて強力なパートナーになるのは間違いない。
(桑江修、沖縄県工業連合会専務理事)