<南風>中心・周辺/左・右と沖縄


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 沖縄は、二重の「中心・周辺」構造にあると考えています。一つは、米国を「中心」としながら、沖縄を含む日本は「周辺」にあるという構造。もう一つは、都市部を「中心」としながら、沖縄は「周辺」にあるという構造。ゆえに、後者のみに着目した「大和対沖縄」という議論は、不十分だと考えています。

 同時に、沖縄は本土型の左・右構造に振り回されてはいけないと考えています。本土型の保守は、「排外主義」と「親米」をあわせ持っています。しかし、本当に自身の文化や伝統を守る人は、他国の文化や伝統をも尊重するでしょう。本当に自国を愛するならば、思いやり予算等の甘い蜜を吸いながら自国に居座る他国軍をよしとしないでしょう。本土型の保守は、より強く金のある者にはすり寄り、弱い者を叩(たた)くことでしか自己肯定ができない「プライド無き保守」に過ぎません。

 一方、本土型革新は、愛国心(郷土愛)や自身の文化、伝統を守るという感覚と一定の距離を置く。「愛国心」が軍事的に利用された過去に対する痛烈な反省であるという点で理解はできるものの、郷土愛に近い人間の素朴な感情にさえ距離を置く点で「魂なき理想論」に感じられてしまう。

 沖縄は、この左右いずれにも属さないのではないか。まず、沖縄の人々は、郷土愛、自身の文化や伝統を重視しているという点で、いわゆる本土型革新とは一線を画し、異なる文化や伝統を見下すようなことをしないという点で、いわゆる本土型保守とも一線を画している。この「革新的な保守」こそが「オール沖縄」の姿ではないでしょうか。

 「大和対沖縄」という構造のみにとらわれるでもなく、本土型の左右構造に振り回されることなく、独自の立ち位置を自覚し磨きをかけていく沖縄に寄り添いたい。
(白充、弁護士)